特養は100人待ちでも入れる?要介護3の母が入居するまでにしたこと

特養の申し込み書類とパンフレット 介護施設のこと

「特養は何年待ちなのだろう」
「うちは、もう入れないのかもしれない」

待っている方の人数を聞いて、申し込む前から諦めかけていませんか。

私の母は、3か所の特別養護老人ホームへ申し込みました。施設によっては、100人ほどの方が待っていると聞きました。それでも母は、申し込みからしばらくして、希望していた特養へ入居することができました。

この記事では、母の特養入居に向けて私がしたこと、施設を選ぶときに確認したこと、そして「100人待ち」と聞いていた施設から入居の連絡をいただくまでを、私自身の経験をもとにお話しします。

特養へ申し込んだのは「要介護3」になったとき


母は、私との同居生活から始まり、デイサービス、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と、少しずつ段階を踏んできました。

ここまでの経緯は、こちらの記事に書いています。
「若干毒親」の母を引き取って介護した私の記録

特養へ申し込んだのは、母が体調を崩して筋力が低下し、要介護3になったときでした。

特別養護老人ホームへの新規入居は、原則として要介護3以上の方が対象です。要介護1または2でも、やむを得ない事情がある場合には特例入所の対象になることがありますが、母の場合は要介護3になったことが、申し込みを考えるきっかけになりました。

候補となる10施設を自分で調べました


母が要介護3になってから、私はインターネットなどで情報を集め、候補となる施設を10か所ほどリストにしました。

施設の場所、母の暮らしやすさ、家族が面会へ通いやすいかなどを確認し、それぞれの施設へ直接電話をかけました。そして、気になった施設には見学をお願いしました。

介護施設で働いた経験があったため、施設の種類や基本的な仕組みについて多少の知識はありました。それでも、自分の母が暮らす場所を選ぶとなると、仕事として施設を見るときとは、まったく気持ちが違いました。

※電話や見学のときに何を確認したのかは、こちらの記事に12のポイントとしてまとめています。
「親の介護施設はどう選ぶ?介護施設で働いていた私が見学で確認したこと」

見学で確認したのは、パンフレットに載っていないこと

机に広げた複数の介護施設の資料とメモ帳


施設見学で私が見ていたのは、パンフレットやホームページだけでは分からないことでした。

入居している方の表情


入居している方に穏やかな表情や笑顔があるか。皆さんがどのように一日を過ごしているのか。ただ座っているだけのように見えないかも、気になりました。

もちろん、見学した短い時間だけで、その施設のすべてが分かるわけではありません。それでも、そこで暮らす方たちの様子から感じ取れることはありました。

スタッフさんの表情や声かけ


スタッフさんが忙しい中でも、入居者さんへどのように声をかけているかを見ました。職員同士の雰囲気や、見学に訪れた私たちへの接し方にも、その施設らしさが表れるように感じました。

食事がどのように用意されているか


食事は施設内で調理されているのか、外部の業者へ委託されているのか。温かいものを温かい状態で食べられるのか。

毎日の楽しみにもなる食事は、母にとって大切なことだと思い、確認しました。

居室から共有スペースまでの動線

母は両膝の手術を受けており、長い距離を歩くことが負担になります。そのため、

居室から食事をする場所までの距離
トイレやお風呂までの移動
廊下の広さや手すり
移動するときにスタッフさんの目が届きやすいか
などを確認しました。

建物の周りや敷地の様子


建物の周囲や、敷地にある花や木の手入れも見ました。

母は花や緑が好きです。室内だけでなく、窓から見える景色や、季節を感じられる環境も大切にしたいと思っていました。

見学前に外観と周辺を見に行ったことも


正式に見学を申し込む前に、夫と一緒に施設の外観や周辺環境だけを見に行ったこともあります。

駅や道路からの距離、面会へ通いやすい場所か、周辺が落ち着いた環境かなどは、外からでも確認できます。実際に足を運んでみて、「母には少し合わないかもしれない」と感じ、見学をお願いしなかった施設もありました。

外観だけで施設の良し悪しを判断することはできません。それでも、家族が長く通う場所でもあるため、周辺環境を事前に確かめておくことは役立ちました。

最終的に3施設へ申し込みました


見学や問い合わせを重ね、最終的には3施設へ正式に申し込みました。

必要な書類は施設ごとに少しずつ異なり、それぞれの申込書を準備しました。一度に複数の施設へ申し込む作業は、思っていた以上に手間がかかりました。

それでも、希望する施設を一つだけに絞らなかったことで、選択肢を残すことができました。

申し込みの際に用意した書類や、記入するときに迷ったことについては、別の記事で詳しくまとめたいと思います。

※申し込みのときに用意した6つの書類と、その集め方は、こちらの記事にまとめています。

「特養の申し込みに必要だった6つの書類|市役所で受け取った資料から知った母の姿」

「100人待ち」と聞き、3年はかかると思っていました


申し込みの際、施設から、

「100人ほどお待ちいただいています」

と伺いました。

当時、母は90代でした。正直なところ、「3年以内に入居できたら幸運なのかもしれない」と思っていました。

待機している方の人数を聞くと、「申し込んでも意味がないのでは」と感じてしまいます。それでも、申し込まなければ可能性は生まれません。まずは順番を待てる状態にしておこうと思いました。

施設へ待機状況を問い合わせてみました


申し込み後しばらくたってから、私は一度、施設へ問い合わせてみました。忙しい時間帯を避けて、「申し込み後の状況を伺ってもよろしいでしょうか」と尋ねたところ、丁寧に教えていただけました。

その後、一番気になっていた施設から届いた手紙には、「27番」と書かれていました。

100人ほど待っていると聞いていたところから、27番まで進んでいたことに驚きました。ただ、それでも入居はまだ先だと思っていました。

なお、待機状況を教えてもらえるかどうかは、施設によって対応が異なると思います。気になる場合は、丁寧に尋ねてみるとよいでしょう。

ある日突然、入居の電話がかかってきた

特養から届いた案内の封筒とパンフレット


「27番なら、まだしばらく先だろう」

そう思っていたある日、施設から突然電話がかかってきました。

「ご入居いただけます」

待ち続ける覚悟をしていたため、すぐには信じられないような気持ちでした。

ちょうどその頃、私は人生で初めて足の指を骨折し、思うように動けず落ち込んでいました。あの電話を受けたときには、一筋の光が差し込んだように感じました。

そこから慌ただしく、母の引っ越し準備が始まりました。

特養は単純な申し込み順ではありませんでした


母の入居後、私は思い切って施設の方へ尋ねました。

「どうして母の入居が決まったのでしょうか」

母の入居した施設では、申し込みの早さだけでなく、介護の必要性や心身の状態、施設の受け入れ体制などを踏まえ、会議で入居者を検討しているとのことでした。

母は要介護3でしたが、ある程度は自分で身の回りのことができ、認知機能の低下もそれほど進んでいませんでした。事前の面談での様子なども含めて、その時点で施設が受け入れやすい状況だったのかもしれません。母は昔から、外の方への対応はとてもよいのです。

特養では、単純に「先に申し込んだ人から入居する」とは限りません。制度上も、入居の必要性が高い方を優先する考え方があり、具体的な判断基準や手続きは自治体や施設によって異なります。

そのため、「100人待ちだから、何年も入れない」とは一概に言えないのです。

「100人待ち」でも申し込む意味はありました


私の経験から言えるのは、待っている方の人数だけで諦めないほうがよいということです。

申し込んでいる方の中には、すでに別の施設へ入居している方や、状況が変わった方が含まれている場合もあります。また、入居の必要性や施設の受け入れ状況によって、案内の時期が変わることもあります。

母の場合も、「100人待ち」と聞いたときに申し込みを諦めていたら、入居の電話をいただくことはありませんでした。

要介護3になる前から施設を見ておく


特養への新規入居は原則として要介護3以上ですが、施設について調べたり、見学したりすることは、その前からでもできます。

介護が大変になってから慌てて探すと、家族にも気持ちの余裕がありません。

どのような場所に施設があるのか
家族が無理なく通えるか
従来型とユニット型では、どのように暮らしが違うのか
本人に合いそうな雰囲気か
費用はどのくらいかかるのか
こうしたことを早めに知っておくだけでも、いざというときの安心につながります。

おわりに——ご縁は突然やってくる

特養の庭に咲く季節の花と手入れされた植え込み


「100人待ち」という数字を聞き、諦めそうになっている方へ。

申し込まなければ、その順番は回ってきません。

要介護3になったら、まずは情報を集め、気になる施設を見学し、申し込みについて相談してみる。そして、要介護3になる前でも、「ここなら安心できそう」と思える施設を、自分の目で見ておく。

私がお伝えしたいのは、この二つです。

特養への入居時期や優先順位は、本人の状態、家庭の事情、地域、施設の受け入れ状況などによって異なります。母の経験が、すべての方に当てはまるわけではありません。

それでも、100人待ちと言われた母に、ある日突然、入居の連絡が届いたことは事実です。諦めずに申し込んでおいて、本当によかったと思っています。

母が入居したあとに分かった特養での暮らしや費用、家族の負担の変化については、次の記事で詳しくお話しします。

「特養に入居して分かった暮らしと費用|家族の負担はどう変わった?」

母を引き取ってから特養へ入居するまでの全体の記録は、こちらの記事に書いています。

今日という一日が、あなたにとって心地よい「ちょうどいい距離」の一歩になりますように。

きーのこと

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