親が元気なうちに聞いておきたいこと|母を引き取って初めて知った家・土地・お金の話

縁側から見た庭と障子 親の介護

母を引き取ってから、初めて知ったことがたくさんありました。

実家の屋根裏に何があるのか。

家のどこを、誰が直したのか。

田んぼや山が、どこにあるのか。

どれも、私は知りませんでした。

母は、しっかりした人です。

自分のことは自分で決め、家やお金のことを、家族へ詳しく話す人ではありませんでした。

この記事では、母を引き取ってから分かったことと、母が元気なうちに聞いておけばよかったこと、そして聞いておいてよかったことをお話しします。

※母を引き取ったときの経緯は、こちらの記事に書いています。

「親を引き取るタイミング|しっかりした母だからこそ、一人で決めていました」

  1. 屋根裏があることを、私は知りませんでした
  2. 本人しか知らないことが、家にはありました
  3. 父が残した古いお札と記念コインもありました
  4. 母が元気なうちに聞いておけばよかったこと
    1. 家の修繕を、誰に頼んでいたのか
    2. 工事の領収書を、どこに保管しているのか
    3. 田んぼや山が、どこにあるのか
  5. 場所を知らなくても、手続きは進められました
  6. お金の管理は、少しずつ私へ移っていきました
  7. 通帳は、実家を離れる前にまとめておけばよかったです
  8. 家のことは、母のほうが先を見ていました
  9. 前向きな母でも、気持ちが揺れることはありました
  10. 喧嘩をしているときには、大切な話をしませんでした
  11. 母のところへ行くときは、夫に付き添ってもらいました
  12. 家族だから難しい話を、夫がつないでくれました
  13. しっかりした親ほど、困りごとが伝わりにくいことがあります
  14. 正直に言えば、一人で暮らせたかもしれません
  15. 家族が手続きを担う覚悟も必要でした
  16. 母の変化に気づいてくださったのは、ご近所の方でした
  17. 日々の暮らしを見ているから分かることがありました
  18. 離れて暮らしていると、見えないことがあります
  19. ご近所の方と連絡を取れるようにしておく
  20. 親が元気なうちに確認しておきたいこと
    1. 1.これから、どのように暮らしたいか
    2. 2.家や土地について、本人しか知らないことはないか
    3. 3.銀行・保険・連絡先などを書いてもらう
    4. 4.ケアマネジャーさんや地域の方と連絡を取れるようにする
    5. 5.自宅の近くに、どのような施設があるかを知っておく
    6. 6.家族が動ける時期も考えておく
  21. 母は、大学ノートに大切なことをまとめていました
  22. 写真は、母自身に選んでもらいました
  23. お金のことは、本人の意思を大切にする
  24. いまも、母の希望を聞くようにしています
  25. 一緒に出かけることは、少なくなりました
  26. 実家を離れる前に、お世話になった方へ挨拶をしました
  27. それでも、まだ会いたい人がいるかもしれません
  28. 聞いておいてよかったのは、母の昔の話でした
  29. 親が元気なうちにしか聞けない話があります

屋根裏があることを、私は知りませんでした

屋根裏の入口にかけられた木の梯子

実家を片付けているとき、母がふと思い出したように言いました。

「屋根裏があるよ」

私は、その家で育ちました。

それなのに、屋根裏があることを知らなかったのです。

上がってみると、いろいろなものが残っていました。

父が私の結納に使った箱。

人形。

結納品を置くための台が数個。

長いあいだ、誰にも使われることなく保管されていたものばかりでした。

本人しか知らないことが、家にはありました

結納品を置く台は、まだきれいな状態でした。

自宅へ持ち帰ってメルカリへ出品したところ、買ってくださる方が見つかりました。

人形は、近くのお寺へ持って行き、供養していただきました。

実家を売りに出しているあいだに、屋根裏に残っているものがないか、もう一度確認するために帰省もしました。

持ち帰るものは、宅配便で自宅へ送りました。

母が思い出してくれなければ、屋根裏に気づかないまま、実家の片付けを終えていたかもしれません。

家のことは、そこに長く住んでいた人にしか分からないのだと思いました。

父が残した古いお札と記念コインもありました

実家には、父が持っていた古いお札と記念コインも残っていました。

買取業者さんへ持って行ったところ、

「記念コインのなかには、額面より高く売れるものもあります」

と教えていただきました。

けれど、父が持っていたものは、特別な価値がつくものではありませんでした。

買い取りはできないため、銀行へ相談するよう勧められました。

そこで銀行へ持って行き、交換できるものは交換していただきました。

古いお札の一部は、新札ではなく劣化もしていたため、いまも手元に置いてあります。

実家の片付けでは、価値があるのか分からないものが出てくることがあります。

すぐに処分せず、まずは買取業者さんなどへ確認してみてよかったと思っています。

※実家の片付けにかかった費用は、こちらの記事に書いています。

「実家じまいの費用|85万円の見積もりから家財回収を55,000円に抑えた方法」

母が元気なうちに聞いておけばよかったこと

あとから振り返って、母が元気なうちに聞いておけばよかったと思うことがあります。

家の修繕を、誰に頼んでいたのか

私が把握していたのは、ご近所の方へお願いした工事だけでした。

けれど、実家には、それ以外にも手が入っている場所がありました。

誰に頼んだのか。

いつ直したのか。

いくら支払ったのか。

母に尋ねても、はっきりしたことは分かりませんでした。

工事の領収書を、どこに保管しているのか

母は、領収書をすぐに捨ててしまう人でした。

そのため、工事の内容や支払った金額を、あとから確認できないものがありました。

領収書や見積書を入れる場所をひとつ決めておけば、もう少し分かりやすかったと思います。

田んぼや山が、どこにあるのか

畑には、何度も行ったことがありました。

けれど、田んぼと山は、場所さえ分かりませんでした。

いま思えば、母が元気なうちに、

「このあたりだよ」

と、一緒に見に行っておけばよかったのかもしれません。

場所を知らなくても、手続きは進められました

聞いておけばよかったことを書きましたが、実際には、なんとかなりました。

土地のことは、行政書士さんへお願いしました。

現地の確認から必要な手続きまで、すべて進めていただけたのです。

私が田んぼや山の場所を知らなくても、専門家へお願いすることで整理できました。

親が元気なうちに、すべてを聞いておかなければならない。

そう考えると、不安になる方もいらっしゃると思います。

けれど、分からないことがあっても、専門の方の力を借りれば進められることがあります。

必要以上に焦らなくても大丈夫だと思っています。

※実家の土地をどのように整理したかは、こちらの記事に書いています。

「実家の土地の地目変更から譲渡まで約2年|畑が山になっていた話と費用268,500円」

お金の管理は、少しずつ私へ移っていきました

机に置かれた数冊の通帳と印鑑と老眼鏡

母のお金について、私はまったく知りませんでした。

同居するまで、通帳を見たこともありません。

母からお金の管理を任されるようになったのは、少しずつでした。

最初は、母をATMへ連れて行きました。

そのうち、操作を私が代わりにするようになりました。

やがて、

「お金をおろしてきて」

と言われるようになりました。

そして最後には、

「もう任せる」

となりました。

特別な話し合いをしたわけではありません。

母の様子に合わせて、自然に私が管理するようになりました。

ただし、管理を任されても、あくまでも母のお金です。

そこは、いまも変わりません。

通帳は、実家を離れる前にまとめておけばよかったです

お金の管理で、失敗したと思っていることがあります。

母は、通帳を分けていました。

生活費に使う口座。

自分の年金が入る口座。

遺族年金が入る口座。

母が実家を離れたあと、それらを整理して一つにまとめようとしました。

そのとき母は、すでにサービス付き高齢者向け住宅で暮らしていました。

私は、母が利用していた銀行の自宅近くの支店へ連絡し、解約する方法を相談しました。

銀行の方からは、施設の方に立ち会っていただき、電話で母本人の意思を確認できれば、私だけが窓口へ行って手続きできると説明を受けました。

そこで施設長さんへ事情を説明し、銀行から電話が入る日時を決めました。

当日は、施設長さんに立ち会っていただき、母の本人確認をしてもらいました。

そのうえで、私が銀行の窓口へ行き、手続きをしました。

母を遠方の銀行まで連れて行かずに済みましたが、施設長さんと銀行の方に協力していただき、日時を調整する必要がありました。

実家を離れる前に、生活費と年金が入る口座をまとめておけばよかったと思います。

高齢になると、口座がいくつもあるほど、本人にも管理する家族にも負担がかかります。

特に、日々の生活費と年金については、できるだけ一つの口座へまとめておいたほうが管理しやすいと感じました。

※親のお金の管理については、こちらの記事に詳しく書いています。

「親のお金の管理|口座をまとめるとき本人確認で困ったことと、私がしている記録の残し方」

家のことは、母のほうが先を見ていました

意外だったことがあります。

実家については、母のほうが現実的に考えていました。

「早く売ったほうがいい」

母は、自分からそう言っていました。

「まだ売れないの」

と、何度も聞かれたほどです。

家は、古くなると傷んでしまう。

解体することになれば、もっとお金がかかる。

母は、そこまで考えていました。

家を売る話は、母にとって寂しいのではないか。

聞きにくい話なのではないか。

そう思っていたのは、私のほうだったのかもしれません。

前向きな母でも、気持ちが揺れることはありました

実家の売却に前向きだった母も、ときどき気持ちが揺れました。

私と喧嘩をしたとき。

デイサービスや施設で、思うようにいかなかったとき。

「もう一度、実家に帰りたい」

そう言うことがありました。

「もう帰っても、家には何もないよ」

私は、そう答えました。

けれど、後日には、けろっとして機嫌がよくなっていました。

家を手放すことに納得していても、帰りたいと思う瞬間はある。

気持ちは、いつも同じではないのだと思います。

喧嘩をしているときには、大切な話をしませんでした

母と話すときに、気をつけていたことがあります。

喧嘩をしているときには、家やお金の話をしないことです。

お互いに感情的になっていると、話が別の方向へそれてしまいます。

落ち着いているときに、あらためて話す。

そのほうが、うまくいきました。

大切な話だからこそ、内容だけでなく、話すタイミングも大事なのだと思います。

母のところへ行くときは、夫に付き添ってもらいました

母のところへ行くときは、できるだけ夫にも付き添ってもらうようにしています。

そのほうが、母の機嫌がよいからです。

母は、夫にとても感謝しています。

「実の息子より優しい」

そう言うほどです。

夫も、母には優しく接してくれます。

私と母の意見が食い違ったときも、まず母の考えを聞き、尊重してくれました。

家族だから難しい話を、夫がつないでくれました

娘だから言えることがあります。

けれど、娘だからこそ、言いにくいこともあります。

私が言うと角が立つことでも、夫が言うと母が素直に聞くことがありました。

血のつながりがないからこそ保てる距離が、お互いにとってよかったのかもしれません。

親子だけで話すとぶつかってしまう場合には、配偶者やきょうだいなど、少し距離のある人に間へ入ってもらう方法もあると思います。

しっかりした親ほど、困りごとが伝わりにくいことがあります

母を引き取る前、私は実家のケアマネジャーさんへお願いしたことがありました。

「母に、もう少しサポートをしていただけないでしょうか」

けれど、特に問題はないと判断されました。

その理由は、よく分かります。

母は、家じゅうをきれいに保っていました。

部屋も整えていました。

しっかり歩けましたし、二階へも上がれました。

受け答えも、きちんとしていました。

そして母は、家族以外の人には上品に対応する人です。

弱音を吐かない性格でもあります。

そのため、限られた時間だけ接すると、困っているようには見えなかったのだと思います。

正直に言えば、一人で暮らせたかもしれません

母は、もうしばらく一人で暮らせたかもしれません。

だからこそ、引き取ることには迷いがありました。

決め手になったのは、母の状態だけではありません。

実家をいつ、どのように整理するのか。

私や兄夫婦が動ける時期はいつなのか。

私自身の体力は、これからどうなるのか。

そうしたことを含め、家族全体の状況から判断しました。

親を引き取る時期は、親の状態だけで決めるものではないのだと思います。

家族が手続きを担う覚悟も必要でした

親の暮らしを支えるということは、家族が一定の覚悟を持つことでもありました。

介護や医療だけではありません。

施設との契約。

市役所への申請。

保険や口座に関する手続き。

更新が必要な書類。

本人だけでは難しくなったことを、家族が支える場面が少しずつ増えていきます。

事情があって家族だけで支えることが難しい場合には、成年後見制度などを利用する方法もあります。

本人に十分な判断能力があるうちに、将来の財産管理や生活に関する事務を任せる人を決め、公正証書で契約しておく「任意後見制度」もあります。

制度の利用には条件や手続きがあるため、早めに市区町村の窓口や地域包括支援センター、社会福祉協議会、専門家などへ相談すると安心です。

成年後見制度や任意後見制度の内容は、本人の状態や家庭の事情によって異なります。詳しくは、市区町村の窓口や地域包括支援センター、家庭裁判所などへご確認ください。

母の変化に気づいてくださったのは、ご近所の方でした

夕方、明かりのついた家の窓

外から見るとしっかりしていた母の変化に気づいてくださった方がいました。

ご近所の方です。

「以前と少し様子が違う」

そう感じて、私へ連絡をくださいました。

母は、体の調子が悪くなると、二、三日寝込む人でした。

そのあいだは、誰とも会いません。

呼び鈴が鳴っても出ません。

それでも、家の電気がついたり消えたりしていたので、

「大丈夫なのだろう」

と見守ってくださっていたそうです。

ときには、おかずをお裾分けしてくださることもありました。

母も、自分で作ったものを持って行っていたようです。

そうした日々のやり取りのなかで、小さな変化に気づいてくださったのだと思います。

日々の暮らしを見ているから分かることがありました

ケアマネジャーさんは、決められた場面で母と会います。

そのときの母は、きちんとしていました。

けれど、ご近所の方は、母の日々の暮らしを見ています。

電気がついているか。

呼び鈴に出るか。

いつものように外へ出ているか。

お裾分けのやり取りがあるか。

そうした小さなことの積み重ねから、母の変化に気づいてくださいました。

ずっと気にかけてくださっていたのだと思います。

感謝しかありません。

離れて暮らしていると、見えないことがあります

私の実家の近くに住む友人からも、似た話を聞きました。

その友人も嫁いでいて、実家ではお母様が一人で暮らしていました。

あるとき認知症だと分かり、施設へ入られたそうです。

あとになって、ずいぶん前からご近所の方に迷惑をかけていたことを知ったと話していました。

「全然知らなかった」

友人は、そう言っていました。

友人のお母様は、認知症だったそうです。

私の母の場合は、認知面ではなく、足腰と年齢のことが心配でした。

心配していたことは違います。

けれど、共通していたことがありました。

離れて暮らしていると、日々の変化が見えないということです。

帰省したときの数時間だけで分かることには、限りがあります。

それは、家族を気にかけていないからではありません。

離れていれば、どうしても見えないことがあるのだと思います。

ご近所の方と連絡を取れるようにしておく

離れて暮らす親御さんがいる場合は、ご近所の方と連絡を取れるようにしておくのも、ひとつの方法だと思います。

「何か気になることがあったら、教えてください」

そう伝えておくだけでも違います。

私も帰省するたびに、ご近所の方へお土産を持ってご挨拶に伺っていました。

そのご縁があったからこそ、母の変化を伝えていただけたのだと思います。

※このときのことは、こちらの記事に詳しく書いています。

「親を引き取るタイミング|しっかりした母だからこそ、一人で決めていました」

親が元気なうちに確認しておきたいこと

私の経験から、親御さんが元気なうちに確認しておくとよいと思ったことをまとめます。

1.これから、どのように暮らしたいか

家で暮らし続けたいのか。

子どもの近くへ移ることも考えているのか。

家を将来どうしたいのか。

親のほうが、すでに考えているかもしれません。

2.家や土地について、本人しか知らないことはないか

屋根裏や物置に何があるのか。

田畑や山はどこにあるのか。

家の修繕を誰に頼んでいたのか。

すべてを書き出さなくても、家族が知らないものがあるかどうかだけでも聞いておくと安心です。

3.銀行・保険・連絡先などを書いてもらう

口座の残高まで見せてもらう必要はないと思います。

どこの銀行に口座があるのか。

どのような保険に入っているのか。

何かあったとき、誰に連絡してほしいのか。

存在だけでも分かっていれば、あとから探さずに済みます。

生活費と年金に使う口座は、できるだけまとめておいたほうが管理しやすいと思います。

4.ケアマネジャーさんや地域の方と連絡を取れるようにする

介護サービスを利用している場合は、担当のケアマネジャーさんと連絡を取れるようにしておく。

帰省したときには、ご近所の方へ顔を出しておく。

離れている家族には見えない変化に、気づいていただけることがあります。

5.自宅の近くに、どのような施設があるかを知っておく

もし親を引き取ることになったら、そのあと、どのような暮らし方があるのか。

デイサービス。

サービス付き高齢者向け住宅。

介護付き有料老人ホーム。

特別養護老人ホーム。

すぐに利用する予定がなくても、選択肢を知っておくだけで、いざというときに慌てずに済みます。

6.家族が動ける時期も考えておく

親の状態だけでなく、自分の仕事や暮らし、体力も大切です。

家の片付けや引っ越し、各種手続きをするには、家族にも動ける時期があります。

すべてを一度に決めなくても、

「いつなら動けそうか」

を考えておくことはできると思います。

母は、大学ノートに大切なことをまとめていました

机に置かれた古い大学ノートとボールペン

あとになって知ったことがあります。

母は、自分でノートを作っていたのです。

大学ノートに、大切なことが、それとなく書き留めてありました。

父や祖母の法要の年月日。

何かあったときに連絡する人。

そして母は、自分の戒名も、すでにいただいていました。

どれも、私がまったく把握していなかったことです。

私が「聞いておけばよかった」と思っていたことの一部を、母はすでに用意してくれていました。

そこにも、母らしさが表れていました。

写真は、母自身に選んでもらいました

写真やアルバムも、私が預かっています。

いまの母が笑っている写真も、意識して撮るようになりました。

マイナンバーカードや障害者手帳に使う写真も、母に気に入ったものを選んでもらいました。

写真は、家族がよいと思うものと、本人が気に入るものが同じとは限りません。

本人が選べるうちに聞いておいてよかったと思います。

お金のことは、本人の意思を大切にする

親のお金については、無理に見ようとしなくてもよいのかもしれません。

あくまでも、本人のお金だからです。

けれど、必要な情報を書き出しておいてもらうことは、お願いできると思います。

どこの金融機関に口座があるのか。

どのような保険へ加入しているのか。

大切な書類を、どこに置いているのか。

残高や詳しい内容まで見せてもらわなくても、存在と保管場所が分かっていれば、あとから探さずに済みます。

いまも、母の希望を聞くようにしています

母を引き取ってから、金銭の管理は変わらず私がしています。

施設との手続きや更新書類。

市役所への申請。

そうしたことも続けています。

けれど、管理や手続きをするだけが、母を支えることではありません。

面会に行ったときは、できるだけ母へ聞くようにしています。

買い物に行きたいか。

何かしたいことはあるか。

欲しいものはあるか。

すべてを叶えることはできませんが、できるだけ希望を聞いてあげたいと思っています。

一緒に出かけることは、少なくなりました

以前は、母とよく出かけていました。

けれど最近は、外出すると疲れるようです。

「もう、たくさん連れて行ってもらったから」

母は、そう言ってくれます。

そのため、無理に連れ出さないようにしています。

その代わり、誕生日や母の日、敬老の日には、何かしら贈るようにしています。

好きなケーキ。

お菓子。

季節のお花。

大きなことはできなくても、何もないよりはよいのだろうと思っています。

※母への贈り物については、こちらの記事に書いています。

「90代の母に買ってよかったもの|敬老の日に選びたい贈り物と、返されたもの」

実家を離れる前に、お世話になった方へ挨拶をしました

母は、実家を離れる前に、ご近所の方やお世話になった方へ、ちょっとしたお菓子を持って挨拶に回りました。

「一人で行ってくる」

そう言って、自分で何人もの方を訪ねていました。

母は、何かしていただいたら、きちんとお礼をする人です。

長いあいだ見守り、支えてくださった方へ、母自身の言葉でお礼を伝えたかったのだと思います。

少し離れたところに住み、ときどき母の顔を見に来てくれていた私の従姉妹たちにも挨拶へ行きました。

母の実の姉の子どもたちです。

そこへは、私も一緒に行きました。

母がこれまでお世話になった方へ、自分でお礼を伝えてから実家を離れられたことは、よかったと思っています。

それでも、まだ会いたい人がいるかもしれません

ご近所の方やお世話になった方には、実家を離れる前に挨拶をすることができました。

それでも、いまも少し気になっていることがあります。

母は、本当に会いたい人に、もう一度会えたのだろうかということです。

遠方に暮らしている母の姉妹。

兄弟のお連れ合い。

電話ではやり取りをしているため、それでよいのかもしれません。

けれど、母が、

「会いたい」

と言ったら、できる限り連れて行ってあげたいと思っています。

これは、まだ間に合うことです。

聞いておいてよかったのは、母の昔の話でした

ここまで、家や土地、お金について、聞いておけばよかったことを書いてきました。

けれど、聞いておいてよかったこともあります。

母の昔の話です。

父と結婚する前のこと。

いわゆる、母の恋バナです。

手続きに必要な話ではありません。

家の片付けにも、お金の管理にも関係ありません。

それでも、私の心にいちばん残っているのは、そのような話でした。

親が元気なうちにしか聞けない話があります

窓辺に並んだ二つの湯呑みと和菓子

私は、母を引き取ってから知ったことばかりでした。

屋根裏のこと。

修繕のこと。

田んぼや山のこと。

通帳のこと。

それでも、なんとかなりました。

専門家や地域の方に助けていただきましたし、母のほうが先を見て準備してくれていたこともありました。

だから、まだ何も始めていない方に、焦ってほしいとは思いません。

すべてを一度に聞き、決める必要もないと思います。

ただ、親が元気なうちにしか聞けないことはあります。

家や土地、お金のことだけではありません。

その人が、どのような子どもだったのか。

誰と出会い、何を大切にしてきたのか。

どのような思いで、家族と暮らしてきたのか。

そうした話こそ、いま聞いておいてよかったと思っています。

今日という一日が、あなたにとって心地よい「ちょうどいい距離」の一歩になりますように。

きーのこと

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