実家の土地の地目変更から譲渡まで約2年|畑が山になっていた話と費用268,500円

田んぼと山に囲まれた田舎の風景 実家じまい

実家を売却しようと動きはじめたとき、家のほかにも、いくつかの土地があることが分かりました。

田んぼが2か所、畑が1か所、山が2か所。

田舎にある実家には、家の敷地以外にも土地があることを、私はこのとき初めてきちんと知りました。

そして法務局で登記の内容を確認すると、記録されている地目と、実際の土地の状態が違っている場所がありました。

手続きのために動きはじめたのが2023年9月。

すべての土地を手放し終えたのが2025年10月です。

かかった期間は、約2年でした。

この記事では、実家の土地を調べ、地目変更などの手続きを行い、最後に無償で譲渡するまでの経緯と、かかった費用についてお話しします。

※実家の売却が決まるまでの流れは、こちらの記事に書いています。

『遠方の空き家を売却するまで1年4か月|実家じまいで私がしたこと』

気づいたのは、法務局へ住所変更に行ったときでした

机に置かれた封筒と書類

地目の違いに気づいたのは、実家の売却手続きが始まる前のことです。

登記名義人の住所が古いままだったため、住所変更の手続きをするために法務局へ行きました。

そのとき持参したのが、固定資産税・都市計画税の納税通知書です。

毎年、市の税務課から送られてくるもので、同封されている明細書には、所有している土地と家屋が一覧で記載されています。

私はその明細書を見ながら、どこに、どのような土地があるのかを確認していました。

自分が所有している不動産の全体像を知るための、大切な手がかりになりました。

さらに登記の内容を確認すると、記録されている地目と、実際の土地の状態が一致していない場所があることが分かったのです。

登記では「畑」、実際は「山」になっていました

木が生い茂った、もとは茶畑だった斜面

状態が違っていたのは、2か所の土地でした。

登記上の地目は「畑」です。

けれど実際には、木が生い茂り、山と呼ぶほかない状態になっていました。

もともとは茶畑だった場所です。

長い年月、手を入れられないままになり、土地の姿が変わっていました。

今後の譲渡を進めるためには、登記上の地目も現在の状態に合わせておく必要があると説明を受けました。

「よくあることですよ」の一言に救われました

地目が実際の状態と違うと聞いたとき、私は少しがっかりしました。

父が、必要な届け出をしていなかったのだろうか。

そんな思いが頭をよぎったのです。

けれど、法務局の担当の方は、

「よくあることですよ」

とおっしゃいました。

土地の状態は時間とともに変わるため、すべてを把握して管理し続けるのは難しいこと。

珍しいことではないと説明していただき、私はほっとしました。

責められるようなことではないのだと分かり、肩の力が抜けたのを覚えています。

まず、どこにどれだけ土地があるのかを調べました

机に広げた何枚もの地図とマーカーペン

法務局の方から、所有している土地の場所は、登記情報や地図から調べられると教えていただきました。

自宅へ戻ってからパソコンで調べ、土地ごとに地図を印刷しました。

一つは、土地がどのあたりにあるのかを確認するための広い範囲の地図。

もう一つは、その土地の位置や形を詳しく見るための地図です。

印刷した地図にマーカーで印を付けながら、1か所ずつ確認しました。

「こんなにあるの」と驚いたのが、正直な気持ちです。

同時に、「よし、やるぞ」と気合いを入れたことも覚えています。

手元にある土地の全体像が見えたのは、このときが初めてでした。

雑種地のままでよい土地もありました

もう1か所、地目が気になっていた土地がありました。

もとは田んぼで、土を入れて埋め、正方形に近い形へ整えられた土地です。

両隣は畑で、この土地もその後は畑として使われていました。

けれど、登記上の地目は、なぜか雑種地のままでした。

私は、この土地も地目変更が必要なのではないかと思っていました。

しかし、担当窓口へ確認したところ、登記上は雑種地のままでよいと案内されました。

草が伸びるのを防ぐため、引っ越すよりずいぶん前から、夫と母と私の三人で、土地全体に黒い防草シートを敷いていました。

土地の登記上の地目と実際の利用状況については、自分だけで判断せず、担当窓口へ確認することが大切だと感じました。

地目変更は、専門家へお願いしました

登記名義人の住所変更は、法務局の手続案内を利用して、自分で申請しました。

そのため、地目変更も自分でできるのだろうかと考えました。

地目変更登記は本人が申請することもできますが、土地の状態によっては、現地調査や専門的な資料が必要になります。

私の場合は、法務局や市の担当窓口へ相談したうえで、専門家へ依頼することにしました。

農地に関わる手続きについては、農業委員会などへの申請や確認も必要になります。

土地家屋調査士さんの力を借りたほうが、確実に進められると判断しました。

司法書士さんから、行政書士兼土地家屋調査士さんを紹介していただきました

まず、実家の近くにある司法書士さんへ電話をしました。

直接ご挨拶をしたのは、この1回だけです。

その後のやり取りは、すべてメールで進めました。

司法書士さんから紹介していただいたのが、行政書士と土地家屋調査士、両方の資格をお持ちの方でした。

その方に、現地の確認、地目変更に必要な手続き、農地に関する手続きなどをお願いしました。

それらが終わり、土地の譲渡先が決まったあとに、所有権移転登記を司法書士さんへ引き継ぐ流れです。

最初に全体の見通しを説明していただけたため、安心してお任せできました。

※お墓と仏壇のほうは、兄夫婦が依頼した別の行政書士さんにお願いしました。そのときのことは、こちらの記事に書いています。

『お墓を兄の住む地域へ移しました|仏壇もお寺へ引き継いだ実家じまいの記録』

一度も現地へ行かずに進めることができました

窓辺の机に置かれたノートパソコンとメモ帳

この手続きのために、私が実家の土地へ行くことはありませんでした。

問い合わせや打ち合わせは、すべて電話とメールです。

土地の状態は、行政書士兼土地家屋調査士さんが現地へ行って確認してくださいました。

その後の調査や地目変更、農地に関する手続きも進めていただき、必要な書類も集めてくださいました。

遠方に住む私にとって、これは本当にありがたいことでした。

田んぼは、境界を確認するところから始まりました

稲が育つ田んぼと、あいだを通る細い畦道

2か所の田んぼは、地目変更をする必要はありませんでした。

けれど、別の問題がありました。

どちらの田んぼも、農家の方へ農作業をお願いしていました。

そのうちの1か所では、農作業の都合から、隣の田んぼとの境が分からない状態になっていたのです。

そのままでは、どこからどこまでが実家の土地なのかを確認できません。

境を分かるようにしていただきたいというお願いは、私から農家の方へ直接電話でお伝えしました。

その後の調整は、行政書士兼土地家屋調査士さんにお願いしました。

境界の確認などが必要になったため、田んぼの手続きには時間がかかりました。

地目変更に関する一連の手続きには、半年から8か月ほどかかりました

実家の売却を不動産会社へ依頼した頃から、土地の手続きも並行して進めました。

地目変更に関する一連の手続きにかかった期間は、半年から8か月ほどです。

思っていたよりも長くかかりました。

待っているあいだは落ち着かず、

「現在は、どのような状況でしょうか」

と、何度もメールで問い合わせました。

やり取りはいつも丁寧で、書類のやり直しになったことは一度もありませんでした。

田んぼは地目変更こそ不要でしたが、境界を確認するため、さらに時間がかかりました。

そして、家の売却が終わったあとも、田んぼ、畑、山の引き受け手を探す作業は続きました。

住所変更のために動きはじめたのが、2023年9月。

譲渡の契約を交わしたのが、2025年9月と10月です。

最初に動きはじめてから、すべてを手放すまで約2年かかりました。

専門家へ支払った費用は、合計268,500円でした

専門家へ支払った費用は、大きく2回に分かれています。

行政書士兼土地家屋調査士さんへ176,000円

地目変更登記、農地に関する申請、契約書の作成など、土地に関する手続きをまとめてお願いした費用です。

司法書士さんへ92,500円

譲渡先が決まったあとの、所有権移転登記をお願いした費用です。

報酬のほか、登録免許税なども含まれていました。

費用は、依頼する前におおよその金額を教えていただいていたため、心の準備ができました。

なお、登記名義人の住所変更だけは、自分で手続きをしました。

自宅近くの法務局で申請書の書き方を案内していただき、記入した内容を確認してもらったうえで、実家を管轄する法務局へ郵送しました。

不動産登記はオンラインでも申請できます。

けれど私は、書いた内容を人の目で確認してもらいたかったため、この方法を選びました。

住所変更を専門家へお願いすると2万円から3万円ほどかかると案内されていたため、その分は抑えることができました。

ただし、無理をして自分で行う必要はありません。

私は、法務局の案内を受けながら自分で申請してみようと思っただけです。

申請書の様式や記載例は、法務局のホームページで確認できます。

法務局「不動産登記の申請書様式について」

上記の費用は、あくまで私の場合です。土地の数、地目、広さ、場所、手続きの内容、依頼先などによって金額は変わります。ご自身の場合は、司法書士、土地家屋調査士、行政書士などへ見積もりをご確認ください。

収入はありましたが、手放すことを選びました

2か所の田んぼには、農作業をお願いしていたことで、毎年いくらかの収入がありました。

小さいほうが年に1,700円ほど、やや大きいほうが年に13,000円ほどです。

そこから、水利費など田んぼを維持するための費用を差し引くと、手元に残るのは1万円弱でした。

わずかではありますが、入ってくるお金はあったのです。

それでも、手放すことを選びました。

田んぼだけを手放しても、山は残ります。

山にも、少額ですが固定資産税はかかり続けます。

そして、そのままにしておけば、いずれは残された家族が引き継ぐことになります。

自分が動けるうちに、区切りをつけておきたい。

いろいろなことを考えて、すべてを手放すことに決めました。

最後は、売却ではなく無償譲渡を選びました

土地の状態や登記を整えたあと、引き受けてくださる方を探しました。

けれど、ここからが長かったのです。

まず、農作業をお願いしていた方々へ、田んぼを買っていただけないか相談しました。

2か所の田んぼを、それぞれ別の方にお願いしましたが、どちらもお断りされました。

このような話は、ほかにも多くあるそうです。

「無償でも構いません」とお伝えしましたが、それでも引き受けていただくことはできませんでした。

田んぼや畑を手放すことには、家の売却とは違う難しさがあるのだと知りました。

農地には、農地法という決まりがあります。

田んぼや畑を譲り渡すときには、譲り受ける方が農業をされているかどうかなどが確認されます。

家や宅地のように、誰にでも自由に譲れるわけではないのです。

予定していた使い方では、引き継げませんでした

途中で一度、土地を譲り受けたいという方が現れました。

登記上「雑種地」になっていた土地を、ご自身の事業で使う機械の置き場所にしたい、というお話でした。

けれど、市の農地を管理する担当窓口へ確認したところ、予定されていた使い方では手続きを進められないと言われました。

その土地は、もともと田んぼだった場所です。

土を入れて埋め、正方形に近い形へ整えられ、その後は畑として使われていました。

両隣も畑です。

けれど、登記上の地目は、なぜか雑種地のままでした。

今後は地目を畑へ変更する予定で、市の担当窓口にも農地として管理されていました。

そのため、事業用の機械を置くという利用方法では、手続きを進められないとのことでした。

せっかくのお話でしたが、この方への譲渡は見送ることになりました。

土地は、登記上の地目だけで手続きが決まるとは限りません。

実際の利用状況や譲り受ける方の利用目的によって、必要な手続きや判断が変わることを、このとき知りました。

山について、相続土地国庫帰属制度も調べました

引き受け手が見つからないまま、山だけが残る可能性が出てきました。

そこで法務局へ、相続した土地を国へ引き渡す「相続土地国庫帰属制度」を利用できないか相談しました。

制度を利用するには、申請時の審査手数料に加え、承認された場合には負担金が必要です。

私が相談した際は、2か所で40万円ほどかかる可能性があると説明を受けました。

ただし、実際の負担金は土地の種類や面積などによって異なります。

土地によっては、1か所で20万円を超えることもあるそうです。

また、申請しても、土地の状態によっては承認されない場合があります。

その金額を聞いて、私は考えを変えました。

お金を払って国へ引き渡す方法を選ぶ前に、無償でも引き受けてくださる方を、もう少し探してみようと思ったのです。

相続土地国庫帰属制度については、法務省の案内をご確認ください。

法務省「相続土地国庫帰属制度について」

「山も一緒でしたら、無償でお譲りします」

そこからも、諦めずに引き受け手を探しました。

最初は田んぼと畑だけのお話でしたが、山2か所も一緒に引き継いでいただけないかとお願いしました。

田んぼには、毎年わずかながら収入があります。

その田んぼに、引き受け手の見つからない畑と山を一緒につけてお願いする。

そういう形にするしかありませんでした。

「山も含めてでしたら、無償でお譲りします」

そうお伝えし、相手の方との調整には行政書士兼土地家屋調査士さんにも入っていただきました。

ここでも、話がまとまるまでに数か月かかりました。

それでも最後には、引き受けてくださる方が見つかりました。

引き受けてくださったのは、お二人です。

お一人には、田んぼを1か所。

もう一人の方には、残りの田んぼと畑、山2か所をまとめて引き継いでいただきました。

売却ではなく、無償で譲渡する。

これが、私の出した答えでした。

引き受けてくださったのは、農作業をお願いしていた方々とは別の、農家の方です。

長いあいだ田んぼを守ってくださった方々へは、これまでのことに感謝の気持ちがありました。

そのうえで、これから先この土地を使ってくださる方が見つかったことに、心からほっとしました。

土地が、これからも農地として活かされていく。

それが、いちばんうれしいことです。

父が遺した土地にとっても、よい形になったのだと思っています。

実家の土地を手放すために、私がしたこと

最後に、今回行ったことをまとめます。

  • 固定資産税・都市計画税の納税通知書で、所有している土地を確認する
  • 法務局で登記情報を確認する
  • 地図を取り寄せ、土地の場所や形を1か所ずつ確認する
  • 登記上の地目と、実際の土地の状態を確認する
  • 地目変更や農地に関する手続きは、専門家へ相談する
  • 遠方の場合は、電話やメールで対応できるか確認する
  • 田んぼの境界が不明な場合は、早めに相談する
  • 売却が難しい場合は、無償譲渡も含めて引き受け手を探す
  • 相続土地国庫帰属制度を検討する場合は、条件や費用を法務局へ確認する

まず確認したいのは、固定資産税・都市計画税の納税通知書です。

同封されている明細書を見ると、所有している土地や家屋を確認できます。

次に、その情報をもとに法務局で登記の内容を確認します。

登記情報は、実家の近くまで行かなくても、自宅近くの法務局やオンラインで確認できるものがあります。

遠方に実家があると、それだけで気持ちが重くなります。

けれど、最初の一歩は、現在住んでいる場所からでも始められます。

そして、すべてを自分で行う必要はありません。

地目変更や農地、境界に関する手続きは、専門的な知識が必要になることがあります。

まずは法務局、市町村の担当窓口、農業委員会などへ相談し、必要に応じて土地家屋調査士、司法書士、行政書士などの力を借りることが大切です。

また、手続きには時間がかかることも知っておいたほうがよいと思います。

私の場合は、地目変更に関する一連の手続きに半年から8か月ほど。

引き受け手が決まり、すべての土地を手放すまでには約2年かかりました。

すぐに終わるものではないと分かっているだけでも、少し心構えができると思います。

諦めないでよかったと思っています

夕暮れの田舎道と遠くの山の稜線

途中で何度も、もうどうにもならないのではないかと思いました。

無償でも断られ、予定していた使い方では手続きを進められず、国へ引き渡す方法にも費用がかかる。

それでも、最後まで諦めずに探し続けてよかったと思っています。

自分に任された大切なことなのだと思い、やり切ることができました。

田舎にある実家の土地を、どのように手放せばよいのか悩んでいる方に、私の経験が少しでも参考になればうれしいです。

登記や農地に関する手続き、相続土地国庫帰属制度の利用条件などは、土地の状態や地域によって異なります。詳しくは法務局、市町村の担当窓口、農業委員会、専門家などへご確認ください。

今日という一日が、あなたにとって心地よい「ちょうどいい距離」の一歩になりますように。

きーのこと

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