90代の母に買ってよかったもの|敬老の日に選びたい贈り物と、返されたもの

玄関に置かれた紫色の靴と花柄の杖 親の介護

90代の母に、これまでいろいろなものを買ってきました。

喜んで使ってくれたものもあります。

けれど、正直に言えば、返されたもののほうが多いかもしれません。

母は、好き嫌いがはっきりしている人です。

気に入らないものは、その場で、

「あなたが使いなさい」

と戻ってきます。

敬老の日が近づくと、高齢の親に何を贈ればよいのか迷う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、90代の母に実際に買ってよかったものと、返されてしまったものを、どちらも正直にお話しします。

※母を引き取ってから特別養護老人ホームへ入居するまでの流れは、こちらの記事に書いています。

「『若干毒親』の母を引き取って介護した私の記録|同居・介護離職から特養入居まで」

いちばん買ってよかったのは、介護シューズでした

これまで母には、メーカーの異なる靴を3足ほど購入してきました。

そのなかで、いちばん買ってよかったと思っているのが、徳武産業の「あゆみシューズ オールスポット」です。

  • 色:ラズベリー
  • 購入時の価格:3,933円
  • 購入先:楽天市場 箱から出して見せたとき、母はこう言いました。

「色がいいね」

「軽いね」

「いいわ」

私は履きやすさを考えて選んだのですが、母が最初に褒めたのは色でした。

紫系の色が、母の好きな色です

たたんで重ねた紫系の衣類とレース編みのカーディガン

母は、紫系の色が好きです。

濃い紫だけでなく、薄紫も好みます。

何を見せても、紫系の色だと「いいね」と言ってくれることが多いです。

このシューズはラズベリーという色で、紫だけではなく、少し赤みのある色も混ざっています。

全体に細かな模様が入っていて、無地ではないところも気に入ったようでした。

機能の面でも、母に合っていました。

  • とても軽い
  • 足を入れやすい
  • かかと部分を踏んでも使える
  • 左右で違うサイズを選べる 高齢になると、靴を履くという動作そのものが負担になることがあります。

足を入れやすく、扱いやすいことは、母にとって大きな利点だったようです。

ただし、かかとを踏んだまま歩くと転倒につながる可能性があります。足の状態や歩き方に合っているか、施設の職員さんや理学療法士さんなどに確認すると安心です。

施設のなかでは、この靴ばかり履いています

このシューズを買う前、母は実家から持ってきた靴や、靴屋さんで購入したシニア向けのおしゃれな靴を履いていました。

どちらも悪い靴ではありません。

けれど、施設のなかで一日履くには、少し重かったのだと思います。

いまは、あゆみシューズばかり履いています。

履き替え用にもう一足買いたいと思っていますが、予想以上に丈夫で、まだまだ履けそうです。

私が購入したときは3,000円台でした。この価格で長く使えているのなら、買ってよかったと思っています。

花柄の杖と押し車は、同居してから使い始めました

花柄の杖とコンパクトな押し車

母を引き取る前に、花柄の杖と花柄の押し車を贈りました。

母はどちらも気に入ってくれましたが、実家にいたころは使わず、家の中に飾っていました。

杖や押し車を使っている姿を、ご近所の方に見られたくなかった気持ちもあったのだと思います。

実際に使い始めたのは、私たちと同居するようになってからでした。

花柄の杖は、同居していたころから、サービス付き高齢者向け住宅、そして特別養護老人ホームへ移ってからも使い続けています。

いまも、室内で杖歩行をするときに使っています。

花柄の押し車は、サービス付き高齢者向け住宅にいたころに毎日使っていました。

選んだのは、次のようなものでした。

  • 花柄でコンパクト
  • 少し腰かけられる座面がついている
  • 中に荷物を入れられる
  • 高さを調整できる
  • とても軽い 母が特に気に入っていたのは、軽いところでした。

歩くときの支えになるだけでなく、疲れたら腰かけることができ、荷物も入れられます。

いまは、以前のように荷物を持って長い距離を移動する場面がなくなったため、押し車は使っていません。

けれど、花柄の杖は、暮らす場所が変わっても母と一緒です。

実家では飾られていた二つのものが、同居後の母の暮らしを支えてくれました。

必要なものを早めに用意しても、本人が使う気持ちにならなければ、すぐに使われるとは限りません。

母にとっては、私たちとの同居が、杖と押し車を使い始めるきっかけになったのだと思います。

杖や押し車は、高さや種類が本人の体に合っていることが大切です。選ぶ際は、ケアマネジャーや理学療法士、福祉用具専門相談員などへ相談すると安心です。

何年も使ってくれた財布もあります

長く使ってくれたものに、財布もあります。

デパートで選んだ、おしゃれなものでした。

  • 表はやわらかな革
  • 色は薄い黄色
  • 内側は花柄 外側は落ち着いたクリーム色で、開くと花柄が見えます。

そのつくりが、母の好みに合ったようでした。

母のお金を私が管理するようになったあとも、同じ財布を使い続けています。

母の財布は、いまも母の財布です。

暮らしが変わったあとも、気に入ったものは長く残っていくのだと思いました。

※親のお金の管理について、私がしていることはこちらの記事に書いています。

「親のお金の管理|口座をまとめるとき本人確認で困ったことと、私がしている記録の残し方」

「自分でしたいこと」を助けるものは使ってくれました

サービス付き高齢者向け住宅にいたころ、小さな布製のバッグを渡しました。

すると、母はいつも持って歩くようになりました。

中に入れていたのは、次のようなものです。

  • 携帯電話
  • パッド
  • ハンカチ 誰かに預けるのではなく、自分にとって大切なものを自分で持っていたかったのだと思います。

特別養護老人ホームへ移ってからは、薬を職員さんが管理してくださり、必要なものも部屋の中にそろっているため、バッグは使わなくなりました。

母の暮らしが変わり、必要ではなくなったのです。

洗濯を施設へお願いできるようになってからも、母はハンカチや下着などを自分で手洗いしていました。

「自分でも洗濯したい」

そう言うので、低い位置で干せるタオル掛けを買いました。

これは、いまも使ってくれています。

私が「便利そう」と考えたものではなく、母が「自分でしたい」と思っていることを助けるもの。

そのようなものは、受け入れてもらいやすいのだと分かりました。

デイサービスのころは、おしゃれを楽しんでいました

鏡台に並んだ化粧品とブラシ

母がデイサービスに通っていたころは、服やシューズ、バッグ、化粧品など、買うものがたくさんありました。

美容院へも通い、パーマをかけ、白髪染めもしていました。

デイサービスは、人に会う場所だったからだと思います。

週に何回か外へ出て、顔を合わせる方がいる。

だから、90代になっても化粧をして、髪を整えて出かけていました。

サービス付き高齢者向け住宅へ移り、そのあと特養へ移ると、買うものは少しずつ減っていきました。

それでも母は、毎日自分で服を選び、身なりを整えています。

出かける場所がなくても、自分のために整えている。

母は、そういう人なのだと思います。

※デイサービスに通っていたころのことは、こちらの記事に書いています。

「デイサービスは早めに検討してよかった|90代の母を通わせて分かったこと」

暮らす場所によって、必要なものは変わりました

実家にいたころ。

私たちと同居していたころ。

サービス付き高齢者向け住宅にいたころ。

特別養護老人ホームへ移ってから。

同じ母でも、暮らす場所によって必要なものは変わりました。

サ高住で活躍した押し車やバッグも、特養では使わなくなりました。

反対に、花柄の杖のように、暮らす場所が変わっても使い続けているものもあります。

以前喜んだものが、次の場所でも役に立つとは限りません。

「いまの暮らしに必要か」ということも、贈り物を選ぶ大切な基準でした。

お菓子とお花は、いまも喜んでくれます

母は、お菓子が大好きです。

とくに好きなのは、チョコレート。

これは間違いなく喜んでくれるので、面会のときにもよく持っていきます。

物と違い、食べればなくなるため、部屋に物を増やしたくない母にも合っています。

アレンジメントのお花も喜んでくれます。

部屋を明るくしてくれますが、大きな場所を取らず、枯れたあとは残りません。

ただし、食べ物の持ち込みや生花については、施設ごとに決まりがあります。食事制限や飲み込みの状態もあるため、事前に職員さんへ確認しておくと安心です。

母は、90代になっても好みがはっきりしています

母は、毎日違う服を着ています。

実家から持ってきた服を自分で組み合わせ、コーディネートを考えています。

母の好みは、次のようなものです。

  • 紫系の色
  • 花柄
  • ふわっとした素材
  • レース編みのカーディガン
  • 派手すぎない色
  • 地味でも、おしゃれなデザイン
  • 品質のよいもの パンツの形や丈にも、こだわりがあります。

実家にいたころは、行きつけの婦人服店があり、自分で服を選んでいました。

長いあいだ自分で買い物を楽しんできた人です。

娘が選んだものなら、何でも喜んで着るわけではありません。

服は、夫が選んだもののほうが喜ばれます

意外なことに、服は私より夫が選んだもののほうが喜ばれます。

夫が選んだ服を渡すと、

「いい服を選んでくれた」

と、素直に受け取ってくれるのです。

夫は母の好みをよく見ていて、色だけでなく、品質も確認して選んでいます。

母と夫の相性もよいのだと思います。

娘が言うと素直に聞けないことも、婿が言うと受け取れる。

夫と一緒に面会へ行くと、母はいつもご機嫌です。

親への贈り物は、「何を選ぶか」だけではありません。

誰が選び、誰から渡されたものなのかも、思っていた以上に関係があるようです。

※姪の結婚式に出席したときの服も、母はとても喜んでくれました。そのときのことは、こちらの記事に書いています。

「94歳の母を連れて姪の結婚式へ|服はメルカリで8千円、着たあと次の方へ渡りました」

返されたもの、その一 きゅうくつな服

ここからは、失敗した買い物のお話です。

母に服を買って渡したことは何度もあります。

けれど、きゅうくつなものはすぐに返されました。

「あなたが着なさい」

そう言われるのです。

私も着ないものは、メルカリで売りました。

サイズ交換ができない商品については、返品したものもあります。

色やデザインが好みでも、体に合わなければ着てもらえません。

服を贈るなら、本人と一緒に選ぶか、サイズ交換や返品ができるかを確認してから購入するほうが安心です。

返されたもの、その二 足置きクッション

母が「足がむくむ」と言っていたため、ベッドで足を上げられるクッションを買いました。

価格は5,000円近くしました。

しばらくは使ってくれましたが、やがて返されました。

理由は、

「往診の先生が来られたときに邪魔になるから」

でした。

母は、部屋をいつもすっきりと保っておきたい人です。

便利でも、ベッドの上で場所を取るものは、母には合いませんでした。

そのクッションは、いま私が使っています。

返されたもの、その三 キャリー付きの買い物バッグ

実家で使ってもらおうと、キャリー付きの買い物バッグを贈ったこともあります。

たくさん買っても楽に運べるだろうと思ったのです。

ところが、ほとんど使われませんでした。

母にとっては、買い物のたびに持ち歩くことが面倒だったようです。

結局、人に差し上げました。

私は「たくさん運べて便利」と考えました。

けれど、母の買い物の仕方には合わなかったのです。

私と母では「便利」の意味が違いました

クッションがひとつだけ置かれた整った部屋

返された三つの品物は、どれも私が「便利だろう」と思って選んだものでした。

けれど、母が大切にしていたのは便利さだけではありません。

母は、実家にいたころから、いつ誰が来てもよいように部屋を整えていました。

施設の自分の部屋も、同じようにきれいに保っています。

そのような母にとって、物が増えることは負担になります。

贈る側の「便利」と、使う本人の「便利」は違うのだと気づきました。

施設へ持ち込む前に、確認しておくこと

施設へ持ち込む服や下着、靴などには、基本的に名前を書きます。

施設によって、持ち込めるものや洗濯方法も異なります。

衣類や靴、家具などを贈る場合は、次のことを確認しておくと安心です。

  • 持ち込んでもよいものか
  • 名前を書けるか
  • 施設で洗濯できる素材か
  • 部屋に置く場所があるか
  • 本人のいまの身体の状態に合っているか

敬老の日に、いまの母へ贈るなら

テーブルに置かれた花のアレンジと和菓子

いまの母へ贈るなら、次のようなものを考えます。

  • 履き替え用の介護シューズ
  • 母の好きな紫系の服
  • 和菓子やケーキ、チョコレート
  • 場所を取らない小さなお花 すでに気に入っているものや、食べればなくなるものなら、失敗する可能性も低くなります。

服は、できれば本人に見てもらうか、母の好みをよく分かっている夫に選んでもらおうと思っています。

近くへの外出用に、コンパクトな介助式車椅子を考えています

贈り物とは少し違いますが、近くへの外出に使える、コンパクトな介助式車椅子も考えています。

母はいま、室内では杖歩行と伝い歩きで、なんとか歩いています。

けれど、施設の外へ出るときは、必ず車椅子を使います。

現在は、施設の車椅子をお借りしています。

施設の車椅子も車に積むことができ、長時間乗る場合は、母の体に合っている施設の車椅子のほうが安全だと思います。

一方、近くへのちょっとした外出や、外食、買い物などには、簡単にたためて車へ積みやすく、小回りの利く介助式車椅子があると便利そうです。

そのため、用途を分けて使えるコンパクトな車椅子を、ときどき探しています。

杖も押し車も花柄でしたから、車椅子も花柄なら喜んでくれるのではないかと思うのです。

けれど、介助式でコンパクトな花柄の車椅子は、なかなか見つかりません。

楽天市場やAmazonで紫色のものを見つけ、何度も買い物かごに入れました。

そのたびに迷い、購入せずに閉じています。

紫色でも、きっと喜んでくれると思います。

それでも、花柄の杖を見せたときのように、

「これがいいね」

と言ってもらいたい。

そう思うと、もう少し探したくなるのです。

ただし、車椅子は、色や軽さだけでは選べません。

本人の体格や座ったときの姿勢、乗り降りのしやすさ、介助する人が安全に操作できるかなど、確認することがたくさんあります。

まずは施設の職員さんや理学療法士さん、福祉用具専門相談員さんへ相談し、実際に試してから選びたいと思っています。

花柄や紫系の色は、安全に使えることを確認したあとの楽しみにします。

高齢の親への贈り物で、大切だと思うこと

高齢の親に何を贈ればよいか迷っている方へ。

私の経験から、大切だと思うことをまとめます。

  • 好きな色や柄を知っておく
  • 「便利そう」という理由だけで選ばない
  • いまの暮らしに必要かを考える
  • 本人が自分でしたいことを助ける
  • 場所を取りすぎないものを選ぶ
  • 施設の決まりや身体の状態を確認する そして、返されても必要以上に気にしないことです。

これは、私自身に言い聞かせていることでもあります。

贈ったものを使ってもらえないのは残念です。

けれど、

「これは好き」

「これはいらない」

と言えることも、母がいまも自分で選びたいと思っていることの表れです。

高いものでなくてもよかったのです

窓辺に置かれた花柄の杖と紫色の靴

いま母が毎日使っているのは、私が3,000円台で購入した介護シューズと、花柄の杖です。

そして、何年も使ってくれたのは、デパートで選んだ財布です。

値段はまったく違います。

けれど、どれも母の好みや暮らしに合っていました。

大切なのは金額ではありません。

その人が、

「これがいい」

と思えるかどうかでした。

好きな色や柄であること。

いまの暮らしに合っていること。

本人が自分でしたいことを助けてくれること。

敬老の日の贈り物も、そのような視点で選ぶと、喜んでもらえるものに近づくのかもしれません。

今年も母に、

「これがいいね」

と言ってもらえるものを、探してみようと思います。

商品の価格や在庫は、時期によって変わります。購入の際は、販売ページでご確認ください。

介護シューズや杖、押し車、車椅子などは、本人の身体の状態や使用する環境によって適したものが異なります。施設の職員さん、理学療法士さん、ケアマネジャー、福祉用具専門相談員さんなどへご相談ください。

今日という一日が、あなたにとって心地よい「ちょうどいい距離」の一歩になりますように。

きーのこと

タイトルとURLをコピーしました