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実家じまいを始めるにあたり、先に進めたのがお墓と仏壇のことでした。
家財のように、片付けて終わりにできるものではありません。
誰に相談し、どのような順番で進めればよいのか。
分からないことばかりでした。
わが家では、お墓を兄の住む地域へ移しました。
仏壇に納めていた位牌や掛け軸、代々の写真も、同じ地域にあるお寺へ引き継ぎました。
動いてくださったのは、行政書士さんと兄夫婦です。
この記事では、母が元気なうちにお墓を移し、仏壇に納めていたものを次の場所へ引き継いだときのことをお話しします。
※実家の売却が決まるまでにしたことは、こちらの記事にまとめています。
→『遠方の空き家を売却するまで1年4か月|実家じまいで私がしたこと』
- わが家が選んだのは、お墓と仏壇を次へつなぐことでした
- お墓を移そうと言い出したのは、兄夫婦でした
- 母が元気なうちに、気持ちを聞くことができました
- お墓は、これまでにも一度移っていました
- 兄夫婦が選んだ基準も、母と同じでした
- お寺さんとのやりとりは、行政書士さんにお願いしました
- 分野ごとに、2人の行政書士さんへお願いしました
- 仏壇が先、お墓があとでした
- 仏壇の魂抜きの日、母は淡々としていました
- 仏壇は、玄関まで見送りました
- 仏壇のなかのものは、このように引き継ぎました
- 大きな遺影は、小さく加工してもらいました
- お墓の魂抜きでは、家族で手を合わせました
- お墓の撤去と遺骨の移動も、行政書士さんが進めてくださいました
- 新しい納め先は、仏壇型納骨堂のある都会のお寺でした
- 家に仏壇を置かない、第三の選択肢がありました
- 分かっている費用は、お墓の撤去費15万円です
- 神棚は、私が神社へ持ち込みました
- お墓を移して、お参りする人が増えました
- 終わらせた話ではなく、続いていく話でした
わが家が選んだのは、お墓と仏壇を次へつなぐことでした
実家をたたむと決めたとき、最初に考えなければならなかったのが、お墓と仏壇のことでした。
誰に相談すればよいのか。
どちらから手をつければよいのか。
私には分かりませんでした。
結果として、お墓は兄の住む地域にあるお寺の納骨堂へ移しました。
遺骨を別のお墓や納骨堂へ移すことは、手続き上「改葬」と呼ばれます。
仏壇に納めていた位牌や法要用の掛け軸、代々の写真も、同じお寺へ移しました。
元のお墓と仏壇はなくなりましたが、供養を終わらせたわけではありません。
わが家にとっては、しまったというより、次の場所へ引き継いだという感覚でした。
※家財の片付けにかかった費用は、こちらの記事に書いています。
→『実家じまいの費用|85万円の見積もりから家財回収を55,000円に抑えた方法』
お墓を移そうと言い出したのは、兄夫婦でした
お墓を移そうと言い出したのは、兄夫婦です。
私から持ちかけた話ではありませんでした。
その話を聞いたとき、最初に感じたのは寂しさよりも安心でした。
お墓が兄夫婦の住む地域へ移れば、これまでよりお参りしやすくなります。
兄夫婦には子どもがいて、その子どもたちにも家族がいます。
自分たちの代だけでなく、その先の世代へ続いていくことが見えたとき、私はほっとしました。
実家をたたんでも、供養まで終わるわけではない。
そう思えたことが、何より大きかったのです。
母が元気なうちに、気持ちを聞くことができました
心配だったのは、母の気持ちでした。
母は、そのお墓を20年ほど前に自分で新しくした人だからです。
お墓を移したいという兄夫婦の考えを伝えると、母は言いました。
「そ〜か〜。兄がそうしたいなら、しょうがないね〜。いいよ、わかった」
反対はしませんでした。
少し寂しそうではありましたが、兄夫婦やその子どもたちがこれから管理してくれるのならと、納得したようでした。
母は今も元気です。
本人が自分の考えを伝えられるうちに、「いいよ、わかった」と聞いてから動けたこと。
あとになればなるほど、ありがたいことだったと思います。
お墓については、親が亡くなってから考えるものと思っている方も多いかもしれません。
けれど、元気なうちに話し合えたことが、わが家にとってはいちばんよかったことでした。
お墓は、これまでにも一度移っていました

もともと、その地域のお墓は、近くの山の裾に斜めに並んでいました。
その後、山の近くにある平らな土地が墓地として整備され、そちらへ移ることになりました。
山の斜面から、平らな墓地へ。
そのときに新しいお墓を建てたのが、母でした。
墓地の入り口に近い、お参りしやすい場所を選んでいました。
それから20年ほどたち、そのお墓を今回また移すことになりました。
正直に言えば、もったいないとは思いました。
けれど、今後、誰もそこまでお墓参りに行かなくなってしまうよりはよい。
そう考えました。
私たちが基準にしたのは、
「これから先、誰が、どれくらいお参りに行けるか」
ということでした。
兄夫婦が選んだ基準も、母と同じでした
兄夫婦は、いろいろな場所を見て回り、時間をかけずにお参りへ行けるところを探しました。
そう聞いたとき、私は気づきました。
20年ほど前に母が選んだ基準と、今回、兄夫婦が選んだ基準は同じだったのです。
お参りに行きやすいこと。
時代も場所も、決めた人も違います。
それでも、大切にしていたことは変わりませんでした。
誰も間違っていなかったのだと思いました。
お寺さんとのやりとりは、行政書士さんにお願いしました
お墓を移すとき、気が重くなることのひとつが、お寺さんへどのように相談するかではないでしょうか。
私も、そこが心配でした。
窓口は、兄夫婦が依頼した行政書士さんにお願いしました。
お寺さんや業者さんとの連絡、日程の調整、手続きや費用のやりとりも、行政書士さんを通して進めていただきました。
自分たちで電話をして、言葉を選びながら切り出さなければ前へ進まない。
私は、そう思い込んでいました。
けれど、間に入ってくださる方へお願いする方法があったのです。
分野ごとに、2人の行政書士さんへお願いしました
実家じまいでは、2人の行政書士さんにお世話になりました。
- 田んぼと畑のこと……私が依頼した行政書士さん
- お墓と仏壇のこと……兄夫婦が依頼した行政書士さん
それぞれの分野で窓口をひとつにまとめ、動きやすい形にしました。
きょうだいで「どちらがするの」と押しつけ合わずにすんだのは、この分け方のおかげだったと思います。
お墓と仏壇について、私は細かな手続きまでは把握していません。
兄夫婦と行政書士さんへお任せしていたからです。
それでも、無事に終えることができました。
すべてを自分で把握しなくても、信頼できる人へお願いすることで進められることがあります。
※田んぼと畑については、こちらの記事に書いています。
→『実家の土地の地目変更から譲渡まで約2年|畑が山になっていた話と費用268,500円』
仏壇が先、お墓があとでした
わが家では、次のような順番で進みました。
- 先に仏壇のことを進める
- 仏壇の魂抜きのため、お寺さんに来ていただく
- その機会に、兄夫婦がお墓の移設について相談する
当日は、行政書士さんも同席していました。
最初から電話で、
「お墓を移したいのですが」
と切り出したわけではありません。
仏壇のご供養に来ていただき、お顔を合わせた流れのなかで相談したのです。
あとから振り返ると、この順番でよかったと思います。
仏壇の魂抜きの日、母は淡々としていました

仏壇の魂抜きの日には、私も立ち会いました。
寒い時期だったように思いますが、よいお天気でした。
集まったのは、兄夫婦と私、母、行政書士さん、そしてお坊さんです。
全体で1時間ほどだったと思います。
手を合わせながら、私が考えていたのは、今まで守っていただいたことへの感謝でした。
その日、母は淡々と片付けていました。
仏壇のなかのものを出し、一つずつ分けていきます。
使っていなかった、おりんの小さな座布団は、お坊さんへ差し上げていました。
惜しむでもなく、しんみりするでもありません。
使わないものは、使ってくださる方へ渡す。
その日の母は、さっぱりしていました。
母は、祖父母の代から続く仏壇に毎日手を合わせ、長いあいだ守ってきた人です。
次の世代へ渡せたことで、肩の荷が下りたのかもしれません。
これは私の想像ですが、あの日の母の表情を思い出すと、そのように感じます。
※母を引き取ってからのことは、こちらの記事に書いています。
→『「若干毒親」の母を引き取って介護した私の記録|同居・介護離職から特養入居まで』
仏壇は、玄関まで見送りました

魂抜きが終わったあと、業者さんが仏壇を引き取りに来ました。
お焚き上げまでしてくださる業者さんで、手配は行政書士さんにお願いしました。
長いあいだ家族を見守ってくれた仏壇を、玄関まで見送りました。
そこから先は、業者さんへお願いしました。
自分たちですべてを背負わなくても、きちんと見送ることができました。
仏壇のなかのものは、このように引き継ぎました
仏壇は、祖父母の代から受け継いできたものでした。
そのなかにあったものは、次のように分けました。
- 位牌……新しいお寺へ引き継ぐ
- 法要用の掛け軸……同じお寺へ引き継ぐ
- 代々の写真……小さく加工して引き継ぐ
- 仏壇本体……業者さんに引き取っていただき、お焚き上げをする
- 未使用のもの……母がお寺さんへお譲りする
- そのほかのもの……整理して処分する
私が持ち帰ったものはありません。
これから守ってくれる人が選んだ場所へ移ったのなら、それでよいのだと思いました。
大きな遺影は、小さく加工してもらいました

実家の仏間には、大きな額に入った代々の遺影が、鴨居の上に横一列に並んでいました。
捨てるわけにはいきません。
かといって、あの大きさのまま、誰かの家へ持っていくのも難しいことです。
わが家では、写真を小さく、コンパクトに加工してもらいました。
手配は兄夫婦がしてくれました。
小さくなった写真は、位牌や掛け軸と一緒に、新しいお寺へ納めています。
捨てなくてもよい。
大きなまま持ち帰らなくてもよい。
小さくして、次の場所へ引き継ぐ方法もあります。
お墓の魂抜きでは、家族で手を合わせました
仏壇の魂抜きのあとには、お墓の魂抜きもありました。
仏壇のときと同じお坊さんに来ていただき、お墓の前でお経を唱えていただきました。
家族で手を合わせ、そのあと、お墓をきれいに掃除しました。
長く守ってきた元のお墓との、最後の時間になりました。
お墓の撤去と遺骨の移動も、行政書士さんが進めてくださいました
その後、墓石業者さんによるお墓の撤去が行われました。
業者さんとの立ち会いは、行政書士さんにお願いしました。
取り出した遺骨を新しいお寺まで運び、納骨堂へ納めるところまで、行政書士さんがお一人で行ってくださいました。
遠方に住む私たちに代わり、一つひとつ進めてくださったことをありがたく思っています。
新しいお寺での納骨の法要は、兄夫婦が行いました。
兄夫婦の子どもたちや、その子どもである孫たちも一緒に集まり、家族で手を合わせました。
新しい納め先は、仏壇型納骨堂のある都会のお寺でした

新しい納め先は、兄夫婦の家から近い、都会のなかにあるお寺でした。
地域のお寺として、法要なども行われています。
お寺のなかにあるのは、仏壇型の納骨堂です。
上の段は家庭の仏壇のような造りで、位牌や法要用の掛け軸、小さく加工した写真を納め、お花やお供物を供えることができます。
下の段には、遺骨が納められています。
兄夫婦が新しく用意したのは、おりんと、お花、お供物です。
おりんは手で持って鳴らすタイプで、やさしく広がる音色でした。
私は、それまでこのような形があることを知りませんでした。
お墓と仏壇を別々に持つのではなく、ひとつの場所で手を合わせることができます。
すべてをしまったわけではありません。
形を変えながら、続いているのです。
家に仏壇を置かない、第三の選択肢がありました
兄夫婦の家には、仏壇を置いていません。
仏壇に納めていたものは、お寺へまとめて引き継ぎました。
この話を聞いたとき、私は少し戸惑いました。
仏壇は、家にあるものだと思っていたからです。
母は毎朝、お水を替えて手を合わせていました。
私は、その姿を長いあいだ見てきました。
けれど、実際にお寺へ行ってみると、戸惑いはなくなりました。
仏壇型納骨堂の上段には、位牌や掛け軸、写真が納められ、お花やお供物も供えられています。
祀られていないわけではありません。
場所が、家からお寺へ変わっただけでした。
今の家には仏間がなく、仏壇を置く場所に悩む方も多いと思います。
無理に置き場所をつくっても、そのあとを引き継ぐ次の世代が困るかもしれません。
けれど、家に仏壇を置かなくても、供養を引き継ぐ方法がありました。
どこにでもある形なのかは分かりません。
それでも、
「家に仏壇を置くか、仏壇をしまうか」
その二つしかないと思っていた私にとって、お寺へまとめて託すことは、知らなかった第三の選択肢でした。
分かっている費用は、お墓の撤去費15万円です
費用について、金額が分かっているのはひとつだけです。
元のお墓の撤去費用が、15万円でした。
墓石業者さんの領収書が残っています。
行政書士さんへの報酬、お寺さんへお包みした金額、仏壇の処分費用などは、兄夫婦に任せていたため、私は把握していません。
推測で数字を書くことはせず、分かっている金額だけを記載します。
わが家は、納骨堂という形を選びました。
けれど決めるまでは、墓石を建て直すのか、別の方法にするのか、迷いました。
費用がいくらかかるのか分からないと、比べようがありません。
複数の石材店から、見積もりをまとめて取れるサービスもあります。
私は行政書士さんにお願いしたので利用していませんが、「いくらかかるか分からない」ところで止まっている方には、入口のひとつになると思います。
神棚は、私が神社へ持ち込みました
実家には、神棚もありました。
神棚は、いったん私の自宅へ持ち帰り、しばらくお祀りしていました。
その後、私が神社へ持ち込み、ご祈祷していただいたうえでお納めしました。
お墓と仏壇は、行政書士さんと兄夫婦へお願いする。
神棚は、私が進める。
それぞれができることを分担したことで、実家じまいを少しずつ進めることができました。
※神棚をどのように納めたかは、こちらの記事に書いています。
お墓を移して、お参りする人が増えました

納骨してからしばらくして、私も新しいお寺へお参りに行きました。
兄夫婦の家から近く、電車ですぐの場所にあります。
都会のなかにあるので、車がなくても行けます。
屋内できれいに管理されているため、草取りや掃除も必要ありません。
手ぶらで行き、手を合わせて帰ることができます。
以前のお墓は遠方にあり、お参りできるのは年に1、2回ほどでした。
新しいお寺には、兄夫婦の子どもたちや孫たちも一緒に来ています。
お墓を移すと決めたとき、私は、
「今後、誰もここまでお参りに来なくなるよりはよい」
と思っていました。
場所は変わりましたが、お参りする人は増えました。
それが、移してよかったと思える何よりの答えでした。
終わらせた話ではなく、続いていく話でした
わが家のお墓は、山の裾から平らな墓地へ、そして都会のお寺にある納骨堂へ移りました。
仏壇に納めていた位牌や掛け軸、代々の写真も、同じ場所へ引き継がれました。
家に仏壇はありません。
それでも、供養が途切れたとは感じていません。
行政書士さんや兄夫婦に支えていただきながら、それぞれができることを分担し、無事に引き継ぐことができました。
そして何より、母が元気なうちに、母の「いいよ、わかった」を聞いてから動けました。
お墓と仏壇をどうすればよいのか分からずにいる方へ。
まずは、誰に相談し、誰に間へ入ってもらえるかを考えてみてください。
今日という一日が、あなたにとって心地よい「ちょうどいい距離」の一歩になりますように。
きーのこと


