実家じまいを進めるなかで、最後まで迷ったもののひとつが神棚でした。
長い年月、実家を見守ってくれた神棚です。
ほかの家財と同じように処分することはできず、私はいったん自宅へ持ち帰りました。
けれど、自宅でこの先も祀り続けることが、わが家にとって本当によいのか。
いつかは、きちんと区切りをつけなければならないのではないか。
何か所かの神社へ相談したところ、神棚じまいの方法は、神社によって異なることが分かりました。
最終的に私は、持ち込みを受け入れてくださる神社を選び、ご祈祷していただいたうえで神棚をお納めしました。
この記事では、実家の神棚を自宅へ持ち帰ってから、神社へお納めするまでの経緯や、かかった費用についてお話しします。
※実家の売却が決まるまでにしたことは、こちらの記事にまとめています。
→『遠方の空き家を売却するまで1年4か月|実家じまいで私がしたこと』
実家の神棚を、そのまま処分することはできませんでした
実家の神棚は、祖父母の代から受け継いできたものです。
年月を経て色の変わった、立派な神棚でした。
商売繁盛のおきつねさんも2体、一緒に祀られていました。
祖父母は昔、現在の実家とは別の地域で商売をしていました。
その後、現在の実家がある場所へ疎開してきたという経緯があります。
神棚の鳥居に記されていた神社は、祖父母がかつて商売をしていた地域にある、お稲荷さんをお祀りする神社でした。
祖父母が商売をしていた頃から、商売繁盛を願い、大切にお祀りしてきた神棚だったのだと思います。
住む場所が変わっても神棚を一緒に移し、その後も実家で祀り続けてきたのでしょう。
実家の家財を片付けることになっても、この神棚だけは、ほかのものと同じように処分する気持ちにはなれませんでした。
長いあいだ、祖父母の商いと家族の暮らし、そして実家を見守ってくれた大切なものだったからです。
仏壇を整理したときに、近隣の神社へ相談し、宮司さんに実家まで来ていただけばよかったのかもしれません。
※仏壇とお墓をどのように引き継いだかは、こちらの記事に書いています。
→『お墓を兄の住む地域へ移しました|仏壇もお寺へ引き継いだ実家じまいの記録』
今になって考えると、そのとき一緒に神棚じまいを進める方法もあったのだと思います。
けれど当時は、あまりにも立派な神棚をその場で手放す決心がつかず、自宅へ持ち帰ることにしました。
これが最適な判断だったのかは、今でも分かりません。
ただ、あのときの私には、それができる精いっぱいの選択でした。
自宅の神棚と並べて祀ることにしました
わが家には、もともと神棚がありました。
私も結婚当初から、毎年初詣に伺う神社のお札を納めて祀っていました。
実家から持ち帰った神棚を、わが家の神棚と一緒に祀ってもよいのか。
それも自分では判断できなかったため、お稲荷さんをお祀りしている神社へ電話で問い合わせました。
事情を説明して確認したところ、一緒に祀っても特に問題はないとのことでした。
そこで、実家の神棚を、もともとわが家にあった神棚と並べて祀ることにしました。

持ち帰って、ただ置いていたわけではありません。
榊を欠かさず、毎朝お水を替えて、手を合わせていました。
私にとって、神棚のお水を替えて手を合わせることは、一日の始まりの行いです。
実家から持ち帰った神棚も、わが家の神棚と同じように、しばらくのあいだ大切にお祀りしていました。
いつまでも自宅で祀り続けることにも迷いがありました
神社へ確認したうえで祀っていましたので、そのまま引き継ぐ方法もあったのだと思います。
けれど、わが家は夫の家でもあります。
すでにわが家の神棚があるなかで、実家から持ち帰った大きな神棚を、この先もずっと並べて祀り続けてよいのか。
私たちが祀れなくなったあと、子どもたちに引き継がせることになるのではないか。
そう考えると、いつまでも先延ばしにするわけにはいかないと思うようになりました。
大切に思う気持ちと、形として持ち続けることは、必ずしも同じではないのかもしれません。
粗末に扱わず、きちんとお見送りすることも、ひとつの大切にする方法だと思い、神棚じまいについて調べ始めました。
鳥居に記された名前から、ゆかりのある神社を調べました
神棚じまいについて調べるとき、最初の手がかりになったのは、神棚の鳥居に印字されていた神社の名前でした。
その神社は、現在の実家の近くではありません。
祖父母が疎開する前に商売をしていた地域にある、お稲荷さんをお祀りする神社でした。
なぜ実家から離れた神社の名前が記されているのか。
祖父母の歩んできた歴史をたどることで、その理由が分かりました。
そこで、まずは神棚とゆかりのある、その神社について調べて問い合わせました。
神社へは、次のようなことを確認しました。
- 神棚をお納めするには、どのような方法があるのか
- 神社へ直接持ち込んでもよいのか
- 宮司さんに自宅まで来ていただく必要があるのか
- ゆかりのある神社ではなく、近隣の神社へお願いしてもよいのか
- 費用はどのくらいかかるのか
- おきつねさんも一緒に納められるのか
問い合わせたところ、遠方にあるその神社まで神棚を持って行かなくても、現在の自宅に近い神社へ相談してよいと教えていただきました。
そこで、近隣の神社や、お稲荷さんをお祀りしている神社へ、それぞれ電話で問い合わせることにしました。
神社によって対応方法が異なりました
問い合わせた結果、神棚じまいの対応は、神社によって異なることが分かりました。
近隣の神社では、宮司さんに自宅まで来ていただき、その場でご祈祷していただく方法のみでした。
こちらは送迎を含めて、3万円ほどかかるとのことでした。
一方、自宅から少し離れた、お稲荷さんをお祀りしている神社では、神棚を直接持ち込むことができました。
持ち込んだ場合の費用は、1万円ほどとのことでした。
ひとつの神社で「訪問と持ち込みのどちらかを選べた」ということではありません。
それぞれの神社で、受け入れている方法が決まっていました。
- 近隣の神社:自宅へ来ていただく方法のみ
- 少し離れたお稲荷さんを祀る神社:持ち込みが可能
わが家には、以前から祀っている別の神棚があります。
ここは夫の家でもありますので、実家から持ち帰った神棚のために宮司さんに来ていただくより、こちらから神社へお持ちするほうがよいのではないかと考えました。
費用を抑えられることもあり、持ち込みを受け入れてくださる神社へお願いすることにしました。
母に尋ねてから、夫と二人で神社へ向かいました
神社へ持ち込むことを決めたあと、母にも、
「一緒に行く?」
と尋ねました。
すると母は、
「二人で行ってきて」
と言いました。
そこで母は同行せず、夫と私の二人で神棚を車に乗せて、神社へ向かいました。
お納めした神社は、自宅から車で1時間ほどの場所にありました。
神棚じまいは私の実家のことですが、夫も一緒に出かけてくれました。
自分一人ではなく、夫と二人でお見送りできたことを、ありがたく思っています。

持ち込みでも、きちんとご祈祷していただけました
「持ち込み」と聞くと、神棚を受付で預けて終わりのように思われるかもしれません。
けれど、実際にはきちんとご祈祷していただけました。
私の場合は、次のような流れでした。
- 受付で神棚じまいのために来たことを伝える
- 神棚とおきつねさんをお納めする
- 母と私の名前でご祈祷していただく
母は一緒に行きませんでしたが、ご祈祷では母と私の名前を読み上げていただきました。
母の代わりに、私たちが神棚をお連れしたような気持ちでした。
長い年月、祖父母や母、そして実家を見守ってくれた神棚です。
形だけの手続きではなく、きちんと区切りとなる儀式をしていただけたことに、ほっとしました。
同じように納められた神棚が並んでいました
神社には、ほかのご家庭から納められたと思われる神棚が、たくさん置かれていました。
一つひとつの神棚に、それぞれの家族の暮らしや歴史があったのだと思います。
家を手放した方。
代替わりをした方。
高齢になり、祀り続けることが難しくなった方。
そこに至る事情は、それぞれ違うのでしょう。
私と同じように、迷いながら神棚を持って来られた方もいるのかもしれません。
並んでいる神棚を見ながら、神棚じまいについて悩んでいるのは、私だけではないのだと思いました。
神社の方から、引き継ぐことについて尋ねられました
神棚をお納めするとき、神社の方から、
「ご家族で、このままお祀りしていくことはできませんか」
と尋ねられました。
けれど、私たちなりに考えたうえで、この先のことまで子どもたちに背負わせないためにも、ここで区切りをつけることにしました。
神社の方からは、神棚という形がなくなっても、これまで守っていただいたことを心のなかで思い、これからも手を合わせてください、というお話がありました。
神棚そのものがなくなっても、感謝する気持ちまでなくなるわけではありません。
その言葉を聞いて、神棚を手放すことへの迷いが、少し軽くなったように思います。
新しくいただいたお札は、今も自宅で祀っています
神棚をお納めしたあと、神社から新しいお札をいただきました。
そのお札は今も、もともとわが家で祀っていた神棚の隣にお祀りしています。
実家から持ち帰った大きな神棚はなくなりました。
けれど、すべてが途切れてしまったようには感じていません。
今も毎朝、榊を整え、お水を替えて手を合わせています。
長いあいだ実家を見守っていただいたことへの感謝は、新しいお札とともに、今の暮らしのなかへ静かに引き継がれています。
神棚じまいにかかった費用は約1万円でした
私の場合、神棚を神社へ持ち込み、お納めしてご祈祷していただいた費用は1万円ほどでした。
近隣の神社に自宅まで来ていただく場合は、送迎を含めて3万円ほどと案内されていました。
持ち込みを受け入れてくださる神社へお願いしたことで、費用を抑えることができました。
ただし、神棚の大きさやお納めするもの、ご祈祷の内容、神社の対応方法などによって費用は異なります。
神社によっては、訪問のみの場合もあれば、持ち込みを受け入れてくださる場合もあります。
神棚とお札、おきつねさんで扱いが異なることも考えられます。
私の経験は、あくまでひとつの例としてお読みください。
神棚じまいの前に確認しておくとよいこと
実際に神棚じまいを経験して、事前に確認しておくとよいと思ったことをまとめます。
- 神棚とゆかりのある神社が分かるか
- 鳥居や神棚に神社名が記されていないか
- ゆかりのある神社以外でも対応していただけるか
- 自宅へ来ていただく方法なのか、持ち込みができるのか
- 神棚と一緒に、おきつねさんなども納められるか
- ご祈祷の方法や費用はいくらか
- お札はどのようにお返しするのか
- 新しいお札を受けることができるか
- 持ち込む日時に予約が必要か
分からないことは、自分だけで判断せず、神社へ直接問い合わせるのがいちばん安心です。
同じ地域にある神社でも、対応方法や費用が異なることがあります。
私も何か所かへ電話をし、一つずつ確認しながら進めました。
神棚じまいは、捨てることではなく、感謝して区切りをつけることでした
実家から神棚を持ち帰ったとき、私はまだ手放す準備ができていなかったのだと思います。
自宅の神棚と並べてしばらくお祀りし、これからのことを考える時間が必要でした。
すぐに決められなかったからこそ、納得できる形でお見送りすることができたとも思っています。
神棚じまいは、神棚をただ処分することではありませんでした。
祖父母が商売をしていた頃から、長いあいだ家族と家を見守っていただいたことに感謝し、これからも心のなかで手を合わせていくための区切りでした。
立派な神棚そのものはなくなりましたが、神社からいただいた新しいお札は、今もわが家の神棚の隣にあります。
形をそのまま引き継がなくても、大切にしてきた思いまで手放す必要はないのだと思います。
実家の神棚をどうすればよいか迷っている方は、まずは神棚に記された神社名を確認し、ゆかりのある神社や近隣の神社へ相談してみてはいかがでしょうか。
今日という一日が、あなたにとって心地よい「ちょうどいい距離」の一歩になりますように。
きーのこと


