母を引き取ったあと、実家は空き家になりました。
遠方にある、古い家です。
誰も住まなくなった家を、これからどうすればよいのか。
売却が決まるまでにかかった期間は、1年4か月でした。
この記事では、実家の売却が決まるまでに私がしたことを、実際に動いた順番に沿ってお話しします。
※母を引き取ってから特別養護老人ホームへ入居するまでの記録は、こちらの記事に書いています。
- 実家の売却が決まるまでの1年4か月
- 実家の売却は、母からの提案でした
- 急に、私が実家じまいを担うことになりました
- 古い家でしたが、きれいに手入れされていました
- 売れるまで、月に一度実家へ通いました
- 弁護士さんの無料相談を利用し、税務署と法務局へ問い合わせました
- それでも親族へ連絡したことを、少し後悔しています
- 仏壇じまいと墓じまいは、行政書士さんに窓口をお願いしました
- 神棚は、いったん自宅へ持ち帰りました
- 兄名義の不動産の住所変更登記は、私が手続きしました
- 専任媒介契約を選びましたが、途中で別の会社にも相談しました
- 半年後、市の空き家バンクにも登録しました
- 民泊を希望される方が現れました
- 家財をすべて片付けた1か月後、売却が決まりました
- 遠方の実家を売るために、私がしたこと
実家の売却が決まるまでの1年4か月
先に、全体の流れをお伝えします。
- 不動産会社と専任媒介契約を結ぶ
- 半年後、市の空き家バンクにも登録する
- 弁護士さんの無料相談を利用する
- 税務署へ電話で問い合わせる
- 法務局へ登記について相談する
- 行政書士さんへ相談する
- 仏壇じまいと墓じまいを進める
- お寺の納骨堂へ納骨する
- 登記名義人の住所変更をする
- 家財をすべて片付ける
- その1か月後、不動産の売却が決まる
- 司法書士さんへ売買にともなう登記をお願いする
こうして並べてみると、家を売るというのは、ただ買い手が現れるのを待つことではないのだと分かります。
家財だけでなく、仏壇やお墓、登記、税金のこともあります。
分からないことを調べながら、ひとつずつ進めていきました。
実家の売却は、母からの提案でした
実家を売ることを言い出したのは、私ではありません。母でした。
「住まない家は、すぐだめになるから。早いうちに、どなたかに買ってもらえるといいのにね〜」
母は私たちと同居するようになってから、そう話していました。
長く暮らしてきた家ですから、手放すことへの寂しさもあったと思います。
それでも母は、誰も住まないまま家が傷んでいくより、次の方に使っていただくことを望んでいました。
古くなった家を取り壊すとなれば、大きなお金もかかります。母は、そのことも考えていたのかもしれません。
母の言葉があったからこそ、私も迷いながら実家じまいを進めることができたのだと思います。
※このとき母は施設で暮らしていました。特養での暮らしと費用については、こちらの記事に書いています。
→「特養に入居して分かった暮らしと費用|家族の負担はどう変わった?」
急に、私が実家じまいを担うことになりました
父が亡くなったあと、実家の土地や建物、山や田畑の名義人になっていたのは、母ではなく長男である兄でした。
兄は遠方に自宅を持っていましたが、実家の固定資産税や修繕費、リフォーム代などは、母が支払っていたようです。
母は、いつか兄家族と一緒に暮らすことを夢見ていました。
私も、兄は兄なりに母のことを考えてくれていると思っていました。
けれど、兄には病気などの事情があり、母を引き取ることも、実家の売却に向けて動くことも、私が担うことになりました。
私にとっては、ある日突然、降りかかってきたような出来事でした。
不動産のことも、登記のことも、税金のことも、最初は何も分かりません。
兄夫婦と連絡を取りながら、相談できる場所をひとつずつ探し、手探りで進めていきました。
古い家でしたが、きれいに手入れされていました
実家は古い家ですが、母はいつも、家をきれいにしておきたい人でした。
傷んだところがあれば、そのままにせず、修繕やリフォームを進んで行う人でもありました。
玄関のフローリングやキッチンの床は張り替えられ、ガス台からIHクッキングヒーターへ変更されていました。
トイレは、祖母がまだ元気だった頃に、近づくと自動でふたが開くタイプのものへ取り替えられていました。祖母が少しでも使いやすいようにと、母が考えたのだと思います。
二世帯住宅として併設されていた、以前は祖母が使っていた和室も、母が暮らすことを考えていたのでしょう。畳も壁も、きれいにリフォームされていました。
古い家ではありましたが、母が長いあいだこまめに手を入れてきたため、家の中は比較的きれいな状態に保たれていました。
ただ、母は一人暮らしでした。
どの業者さんへ、いつ、いくら支払ったのか。領収書を探しても見つからず、詳しいことは分かりませんでした。
母自身も、自分から依頼したのか、訪問してきた業者さんに勧められたのか、はっきりとは覚えていませんでした。
ご近所の方へ聞いてみたところ、工事をしたうちの1社は地元の業者さんだと分かりましたので、これまでお世話になったお礼をお伝えしました。
母が元気なうちに家を修繕してくれていたことは、売却を考えるうえでもありがたいことでした。
一方で、工事の内容や支払いの記録が分からなくなっていたことを考えると、母を引き取ったのは、暮らしやお金のことを一緒に確認し始める、ひとつのタイミングだったのかもしれません。
売れるまで、月に一度実家へ通いました

売却が決まるまでのあいだ、私は月に一度、実家へ通っていました。
目的は、部屋の風通しと掃除です。
住む人がいなくなると、家は傷みやすくなると聞いていたからです。
窓を開けて風を通し、たまった埃を掃除する。
一つひとつは小さなことですが、何もしないままにしておくと、家の中には湿気やにおいがこもっていきます。
実家は遠方にあったため、通うたびに交通費とレンタカー代がかかりました。
空き家は、持っているだけでもお金と時間が出ていきます。
このことも、できるだけ早く売却を進めたいと思った理由のひとつでした。
弁護士さんの無料相談を利用し、税務署と法務局へ問い合わせました

実家の売却を進めるうえで、私には分からないことがたくさんありました。
そこで、親族や名義人との関係については、弁護士さんの無料相談を利用しました。
売却にともなう税金については税務署へ電話で問い合わせ、登記の手続きについては法務局へ相談しました。
何を、どこへ聞けばよいのかも分からないところからのスタートでしたが、それぞれの窓口で教えていただくことで、少しずつ次にすることが見えてきました。
弁護士さんへ、兄や親族との関係について相談しました
実家の名義人は兄でしたが、母を引き取り、売却に向けた実際の手続きを進めるのは私でした。
兄夫婦と、どのように連絡を取りながら進めればよいのか。
疎遠になっている親族にも、実家の売却を知らせる必要があるのか。
売却代金を、ほかの親族へ分ける必要があるのか。
相談時間は30分でしたので、家族関係や不動産の名義、母の状況などを整理し、聞きたいことを書き出して持って行きました。
私たちの状況では、売却に関係するのは名義人である兄であり、疎遠になっている親族へ実家の売却を知らせたり、売却代金を分けたりする必要はない、という説明を受けました。
はっきりとした答えをいただけたことで、誰と、どのように手続きを進めればよいのかが見えてきました。
無料相談でここまで教えていただけるなら、もっと早く相談すればよかったと思ったほどです。
ただし、不動産の名義や相続人、家族関係によって結論は変わります。これは、あくまでも私たち家族の場合です。
税金については、税務署へ電話で問い合わせました
もうひとつ気になっていたのが、税金のことです。
不動産を売却したとき、どのような税金がかかるのか。
売却代金を家族へ渡した場合、どのような扱いになるのか。
確定申告は必要になるのか。
分からないことを、税務署へ電話で問い合わせました。
不動産の売却や家族間のお金の移動は、名義や金額、これまでの経緯によって扱いが変わります。
先に問い合わせておいたことで、自分たちだけで判断せずに進めることができました。
それでも親族へ連絡したことを、少し後悔しています
法律上は知らせる必要がないと分かっていても、私は疎遠になっていた親族へ連絡しました。
お墓のことも、実家のことも、何も知らせないのは気が引けたからです。
義理を通したつもりでした。
けれど、その後もいろいろと意見をいただくことがあり、正直なところ、連絡しなければよかったと思うこともあります。
親族との関係は、それぞれの家によって違います。
知らせる義務がないことについては、「親族だから」という理由だけで急いで連絡せず、伝えたあとのことまで考えて判断してもよいのだと、経験して感じました。
仏壇じまいと墓じまいは、行政書士さんに窓口をお願いしました
実家を手放すために必要だったのは、家財の片付けだけではありません。
実家には仏壇があり、お墓もありました。
私の場合は、兄夫婦が相談して決めた行政書士さんに窓口になっていただき、仏壇じまいと墓じまいを進めました。
仏壇は、お寺さんに必要なお参りをしていただいたあと、行政書士さんが手配した業者さんに引き取っていただき、お焚き上げをお願いしました。
お墓は、お寺さんに必要なご供養をしていただき、石屋さんに撤去していただきました。
その後、遺骨は兄の住む地域にあるお寺の納骨堂へ納骨しました。
お寺さんや石屋さん、処分をお願いする業者さんとの連絡、日程の調整、費用のやりとりなども、行政書士さんを通して進めていただきました。
ご先祖に関わる大切なことです。
兄夫婦と私だけで進めるのではなく、第三者の専門家に入っていただけたことで、落ち着いて手続きを進められました。
※このときのことは、こちらの記事にくわしく書いています。
→『お墓を兄の住む地域へ移しました|仏壇もお寺へ引き継いだ実家じまいの記録』
神棚は、いったん自宅へ持ち帰りました

実家には、神棚もありました。
祖父母から受け継いだもので、商売繁盛のおきつねさんが2対、一緒に祀られていました。
年月を経て色の変わった、立派なものでした。
すぐに手放す気持ちにはなれず、いったん自宅へ持ち帰り、しばらく保管していました。
けれど、いつかは区切りをつけなければなりません。
自分たちが先延ばしにすることで、いずれ子どもたちを困らせることになってもいけないと思いました。
そこで、神棚を購入した神社と、同じ系列の神社へ問い合わせました。
おきつねさんをお祀りしていましたので、お稲荷さんをお祀りしている神社も探しました。
相談したところ、私が案内していただいた方法は2つでした。
- 神社の方に自宅まで来ていただく方法:送り迎えを含めて3万円ほど
- 神社へ自分で持ち込む方法:1万円ほど
本来は、自宅まで来ていただいてお祓いをするのが正式な形とのことでした。
迷いましたが、私は神社へ持ち込む方法を選びました。
お納めした神社は、自宅から車で1時間ほどの場所にありました。
持ち込みでも、きちんとご祈祷していただけました
「持ち込み」と聞くと、神棚を預けて終わりのように思われるかもしれません。
けれど、実際には次のような流れでした。
- 受付をする
- 神棚をお納めする
- 母と私の名前でご祈祷していただく
きちんとした儀式をしていただき、心を込めてお見送りすることができました。
長いあいだ家を守ってくれた神棚です。
粗末に扱わずにすんだことが、何よりありがたいと思いました。
※神棚を納めたときの費用とご祈祷の流れは、こちらの記事に詳しく書いています。
兄名義の不動産の住所変更登記は、私が手続きしました
実家の土地や家屋、山や田畑は、すべて兄名義でした。
ただし、登記簿に記載されていた兄の住所は実家のままでしたので、現在住んでいる住所へ変更する必要がありました。
司法書士さんへお願いすることもできましたが、依頼すると2〜3万円ほどかかると聞き、法務局へ相談して、自分で手続きをすることにしました。
名義人は兄ですので、私が手続きをするには、兄の委任状や住民票などの書類も必要でした。
兄夫婦と何度もやりとりをしながら書類をそろえ、法務局では申請書の書き方や提出方法を教えていただきました。
法務局へは2回ほど通い、無事に住所変更登記を終えることができました。
私が自分でしたのは、登記名義人である兄の住所変更です。
売買にともなう所有権移転などの登記は、最終的に司法書士さんへお願いしました。
なお、法務局では、住所変更とは別に土地の地目変更も行いました。
こちらは、必要な書類や現地の状況を確認しながら進めなければならず、住所変更以上に大変だったことを覚えています。
地目変更については、こちらの記事に詳しく書いています。
→「実家の土地の地目変更から譲渡まで約2年|畑が山になっていた話と費用268,500円」
専任媒介契約を選びましたが、途中で別の会社にも相談しました

実家の売却を正式にお願いした不動産会社は、1社です。
窓口をひとつにして状況を把握しやすくしたかったため、私は専任媒介契約を選びました。
ただ、なかなか売却が決まらない時期には、
「ほかの不動産会社にもお願いしたほうがよかったのではないか」
「今の売却価格は妥当なのだろうか」
と不安になったこともあります。
そこで、別の不動産会社へ電話をして、売却価格などについて相談しました。
お話を伺ったところ、お願いしていた不動産会社の売却価格は、相場から見ても納得できるものだと分かりました。
そのため、途中で会社を変更せず、そのまま1社へお願いすることにしました。
結果的に私は1社へお願いしましたが、最初に数社へ問い合わせ、査定額や対応を比較してから決めてもよかったと思っています。
不動産会社の選び方や媒介契約には、それぞれ違いがあります。ご自身でも調べ、納得できる方法を選ばれることをおすすめします。
契約したあとはお任せにするのではなく、私からもこまめに連絡しました。
「その後、お問い合わせはありましたか」
「見学された方は、どのような印象でしたか」
「もっと見ていただくために、できることはありますか」
メールで何度も状況を伺い、こちらからも提案しました。
家を売るのは不動産会社ですが、持ち主にできることがないわけではありません。
お任せしたままにせず、自分から動く。
これは、実家じまいのすべてに共通することだったように思います。
半年後、市の空き家バンクにも登録しました
不動産会社へお願いしてから半年ほど経った頃、市が運営する空き家バンクにも無料で登録しました。
空き家バンクは、空き家を売りたい人と、買いたい人をつなぐための制度です。
ただ、私の場合は、空き家バンクからの問い合わせは一度もありませんでした。
担当の方からは、実家のような田舎の家はほかにも多く、売却は簡単ではないことを伺いました。
また、家に残っていたたくさんの布団については、肌に直接触れるものなので、購入を検討する方には使いにくく、処分したほうがよいというアドバイスもいただきました。
登録すればすぐに売れるとは限りませんが、選択肢をひとつ増やすという意味では、利用してよかったと思っています。
不動産会社への依頼とあわせて、ひとつの窓口として考えておくくらいがよいのかもしれません。
民泊を希望される方が現れました
見学された方の中に、「民泊として使いたい」という女性がいらっしゃいました。
田んぼや畑に囲まれた、部屋数の多い田舎の家です。
使い方によっては、そのような道もあるのだと思いました。
ただ、不動産会社からは、
「民泊として利用するのであれば、地元の自治会にも相談したほうがよいと思います」
と助言を受けました。
そこで、不動産会社に間に入っていただき、自治会へお話ししました。
すると、
「会議を開く必要があります」
「具体的に、どのような利用をするのか詳しく知りたいです」
という話になり、なかなか前へ進みませんでした。
最終的には、購入を希望されていた方のご家族にご不幸があり、この話はなくなりました。
契約日まで決まっていたのですが、ご縁がなかったのだと思います。
田舎の家では、購入後の使い方によって、自治体への確認だけでなく、地域の方への説明や相談が必要になることもあります。
このとき、初めて知りました。
家財をすべて片付けた1か月後、売却が決まりました

なかなか売却が決まらなかった頃、不動産会社から、こう言われました。
「家の中のものを全部片付けて、空にしたほうが売れやすくなります」
家財が残っていると、見学に来られた方が部屋の広さや、自分たちが暮らす様子を想像しにくいのだそうです。
民泊を希望される方もいたため、それまでは家財を残していました。
けれど、売却につながらない状況が続き、思い切って残っていた家財をすべて片付けることにしました。
※そのときの費用や、家財回収費を抑えるためにしたことは、こちらの記事に書いています。
→「実家じまいの費用|85万円の見積もりから家財回収を55,000円に抑えた方法」
そして、家財をすべて片付けてから約1か月後。
実家の売却が決まりました。
家財を片付けたことが、売却の直接の理由だったのかは分かりません。
それでも、自分から動いたことが、少しずつ結果につながったのだと思っています。
遠方の実家を売るために、私がしたこと
最後に、実際にしたことをまとめます。
- 月に一度、風通しと掃除へ通う
- 庭木の手入れは、シルバー人材センターへお願いする
- 弁護士さんの無料相談で、兄や親族との関係について確認する
- 税務署へ電話をして、売却にともなう税金について確認する
- 仏壇じまいや墓じまいは、専門家に相談する
- 神棚は、購入元や系列の神社へ問い合わせる
- 登記名義人の住所変更や地目変更について、法務局へ相談する
- 不動産会社を選ぶときは、数社への問い合わせも検討する
- 契約後も、不動産会社へこまめに連絡して状況を確認する
- 空き家バンクにも登録して、窓口を増やす
- 売却につながらないときは、家財をすべて片付けることも検討する
すべてを自分でする必要はありません。
私も、弁護士の先生、法務局、税務署、行政の農地を担当する窓口、行政書士さん、司法書士さん、不動産会社、お寺や神社など、さまざまな方の力を借りました。
実家じまいを始めるまでは、無料で相談できる窓口がこれほどあることも知りませんでした。
分からないことをそのままにせず、自分で調べ、相談できる場所を探す。
そして、一人で抱え込まず、必要なところでは専門家の力を借りる。
それだけでも、次に何をすればよいのかが少しずつ見えてきました。
できることは、動けるうちに進めておく。
母を引き取ったことも、家の修繕内容や支払いの記録が分からなくなり始めていた時期を考えると、ひとつのよいタイミングだったのかもしれません。
空き家は、持っているだけでもお金と時間がかかります。
迷っている方は、まずは家の現状を確認し、相談できる場所を探すことから始めてみてはいかがでしょうか。
母が願っていたように、実家は新しい方へ引き継ぐことができました。
家財をすべて片付けてから約1か月後に売却が決まったとき、
「自分から動いたことが、ちゃんと回り回って、よい方向へつながったのだな」
そう思えた出来事でした。
今日という一日が、あなたにとって心地よい「ちょうどいい距離」の一歩になりますように。
きーのこと


